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The Classic ~若き演奏家と巨匠による共演~(2021/12/22@東京オペラシティ コンサートホール)

『The Classic ~若き演奏家と巨匠による共演~』に伺いました。(2021/12/22@東京オペラシティ コンサートホール)

一般財団法人日本演奏家協会が、若き演奏家を支援する思いを込めて開催されたコンサートでした。日本演奏家協会は長年「日本演奏家コンクール」を開催しており、日本の音楽分野における演奏力の質的向上に寄与されています。今回の公演は前半に3人の若き演奏家、後半に2人の巨匠が三ツ橋敬子さん指揮の東京フィルハーモニー交響楽団と共演しました。

最初に登場したのはピアニストの宇田川日和さん。第19回日本演奏家コンクール大学生の部第1位及びグランプリを受賞され、現在イタリアのペスカーラ音楽院に在籍中。グリーグのピアノ協奏曲の第1楽章を演奏されました。堂々とした力強い冒頭部や華やか音色、そして情感たっぷりのカデンツァが特に印象的でした。三橋さん率いる東京フィルも美しいサウンドで若きソリストを支えていました。

2人目はヴァイオリニストの吉本萌慧さん。第18回日本演奏家コンクール大学生の部第1位を受賞、東京藝術大学大学院修士課程在籍中です。シベリウスのヴァイオリン協奏曲第1楽章を、細身ながらも滑らかで美しい音色で、たっぷり弾き込んだカデンツァからより一層集中度が高まった熱演で聴かせてくれました。

3人目はソプラノ歌手の山中さゆりさんです。東京藝大大学院からイタリアで研鑽を積まれ、第19回日本演奏家コンクール第1位を受賞されています。ドヴォルザークのオペラ「ルカルサ」より「月に寄せる歌」では、オーケストラの優しい響きに導かれ、しっとりとした美しい歌声を聴かせてくれました。グノーのオペラ「ファウスト」より「 宝石の歌」は、一転して華やかな雰囲気で魅惑的な歌唱が素晴らしかったです。

後半最初には、ヴァイオリニストの清水高師さんメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲第1楽章を演奏されました。清水さんは10歳でN響と共演、17歳で巨匠ハイフェッツに師事され、国際コンクールでのグランプリ受賞後、ロンドンでデビュー。世界各地でのオーケストラとも共演し、世界各地で後進の指導にも行っています。
練り上げられた独特な深い音色と非常に大きな表現力に感銘を受けました。カデンツァの素晴らしく充実した演奏にオーケストラも反応し、より一層まとまりのある響きになっていました。

ヴァイオリン 清水高師さん

最後に日本演奏家協会の理事長であるピアニストの河野 元さんが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第1楽章を演奏されました。第1回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール特別芸術家賞を受賞し、国立ベルリン音楽大学を最高位で卒業された後、世界各国のオーケストラとの共演も多い日本を代表するピアニストのお一人です。

驚くほど豊かで多彩な音色で非常にスケールの大きな演奏で、特に輝かしく煌めくような高音の音色が印象的でした。堂々たるピアノがオーケストラを引っ張っていき、まさに至芸とも言える渾身のベートーヴェンを聴かせていただきました。

ピアノ 河野 元さん

2022/3/20(日)には『The Classic ~河野元 80歳記念コンサート~』が開催されます。ぜひ、その素晴らしい円熟した演奏をお聴きください。
https://conpas.me/concert/detail/id/1007/


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