【英語】マドン監督の「真の考える野球選手」という言葉から、大谷がスーパースターだけでなく、時代のアンチテーゼになってると思ったこと
大谷が今季3度目(かな?)のバントヒットを決めたことについて、マドン監督がこんなことを言ってた。
1985年の野球(注:スモールベースボールが謳歌していた時代)が戻ったように感じたよ
で、これ本人は英語でどんな感じで言ったんだろというのか気になって出典を探したら、こんな感じだった。
It was 1985 baseball all over again.
最初に"1985年の野球"と言って、後にall over (もう一度)を付けて出来上がり。簡単やね。分かりやすい。
80年代のベースボール
それはそうと、1985年ってどんな年だったんだろ?上記の日本語訳では「スモールベースボールを謳歌していた時代」と注釈が書かれてるけど、どういうこと?せっかくなんで調べてみたら、この記事が勉強になった。
turf and relief
どうも1980年代というのは、パワー全盛からスピード時代になったようで、Ozzie SmithとかWillie McGeeのような俊足選手が活躍したらしい。その証拠に80年代の盗塁数はどの年代よりも高い。
During the 1980s base stealing reached an all-time high.
それもこれも、スタジアムに導入されたturf(=人工芝)やrelief pitching時代の到来(=1試合で3,4人のピッチャーと対戦する時代)が大きいらしい。そりゃ、人工芝はスピードが出るし、次々に新しいピッチャーが出てきたら、ホームラン打つの難しいわな。そんな時代を経験してるからこそ、マドン監督は昔を懐古しながら言ったのだった。
What he was doing as a leadoff hitter getting on base was very unselfish, profound. Whenever I talk about his instincts or baseball acumen, there it is. He's a real thinking man's baseball player. And to me, I think the bunt was more impressive than the 600-foot homer."
(日本語訳)彼が出塁するために先頭打者としてやったことはチームのためにやったことであり、奥深いものだった。いつも彼の感性や野球における洞察力には驚かされる。間違いなく真の考える野球選手だ。それとこれは自分事だが、あのバントは600フィートのホームランよりも印象的だったよ
a thinking man
この英文にはたくさんいい言葉が詰まっていた。
unselfish
非自己中な。向こうにも、こういう価値---「自己犠牲」や「チームのため」という価値を大切にする土壌が少なくとも以前にはあったのだと思わせてくれる。
instincts or acumen
感性や洞察力。baseball IQの構成要素としてこの単語を覚えておこう。
a real thinking man's baseball player
真の考える野球選手。イチローが「現代野球は考えなくてもいい野球になった」と嘆いていたのを思い出した。
大谷に求められること
大谷にはtwo-wayだけじゃなく、知力と体力が揃ったスーパーハイブリッドが求められているのかもしれない。ただ彼自身は当たり前のこととしてやっているだけで、それが大きく取り上げられたり、「大谷を模範にしてベースボール改革だ」みたいな流れになるのは彼の本意ではないだろうけど、でも"考えない時代"のアンチテーゼとしては面白いのかもと考えてる。
大谷さん、ある意味自分勝手に野球を楽しんでくださいね。あなたは時代を超えている上に(super)、アンチテーゼ(antithesis)なのです。
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