楽天・田中将大の復帰にまつわる表と裏

マー君こと、田中将大投手の復帰について、世間が騒がしくなっております。最初予定されたのは10日のソフトバンク戦でしたが、皆さんご存じの通り流れました。そのあと15日か17日という数字が出ましたが、これもまだ確定していません。巷では「まだ治ってないんじゃないか」と心配する声や、下記のように石井監督のマネジメント力に苦言を呈するものまであります。

正直なところ、上記の記事に関しては「余計なおせっかいじゃないの?」と思ったり、「プロ野球には色んな事情があることを知っているはずなのに、かなり偏っているな」という感想しか出てこなかったのですが、まぁそれはともかく、この件に関する各関係者の思惑っていうのを考えたいと思います。

チームの思惑=もっと遅らせてもいい

チームにとって、マー君は絶対的な戦力です。復帰はなるたけ早い方がいい。だけど、体の状態が万全でないなら話は別です。その理由は二つ。

一つは、今現在チームの状態がいいから。マー君無しでも十分やっていけます。もちろんここにマー君が加われば鬼に金棒ですけど、無理してケガを悪化させれば元も子もない。なので今は急ぐ必要はない。

もう一つの理由は、石井監督のプランニングにあります。石井監督はシーズンを通して、一定程度の戦力をキープして戦いたいと考えている節があります。これはもちろん主力が離脱することを見越したうえでの戦略です。いくら前半よくても後半失速したら意味がないし、浅村一人かけたら戦えないでは話になりません。いかにチームの状態を一定にし、現有戦力で質の高いパフォーマンスを発揮できるかが鍵になります。そういう意味で、疲れが出てくる後半にマー君を確実に残しておくのは、絶対必須になってきます。

また仮にリーグ優勝だけでなく、日本一を目指すのなら、終盤の戦い方が非常に重要です。去年の巨人のように、終盤調子を落として、日本シリーズを引きずるようではチャンピオンにはなれません。シーズン序盤・中盤と余力を残しながらハイレベルなパフォーマンスを維持し、終盤に加速する。それが石井監督が思い描いているプランで、そのピースにマー君は絶対です。目先の一勝よりリーグ優勝・日本一。マー君の重要度は後になるほど輝きます。だからこそ体調が万全になるまで焦らなくてもいいと考えているはずです。

球団の思惑=できるだけ早く復帰してほしい

というチームの思惑とは裏腹に、事業を経営する球団側はできるだけ早い復帰を望んでいるでしょう。なんせ180万円の高額ファンクラブを30分で売った男ですからね、とにかく金になる。実際、マー君が楽天に戻ってくることが決まった際、年間シートやグッズの販売が急激に伸びたらしいです。マー君の一試合が何千・何億という単位で球団の損得を決めているのです。

またこれは想像ですが、マー君が戦列を離れている今、球団には数多くの問い合わせが来ているのではないでしょうか?

「マー君の復帰はいつだ?」
「プレミアムチケットはどうなるんだ?」
「180万円分のサービスをちゃんと受けられるのか」
「マー君とオンラインで話すことを楽しみにしていたのに…」

こういう声に、だんだんと事業側の人間も対処しきれなくなっているということが十分に考えられます。特に180万の超高額サービスを売ったファンクラブ部門の人間は気が気ではないでしょう。またそれ以外の部門でも大きな悩みの種になっているはずです。すでに莫大な投資を行ったマー君関連サービスでいかに利益を生み出すかが、今季コロナ禍での最大の命題のはずで、球団で働く人間は非常な緊張を強いられているでしょう。

情報戦の可能性もある

といように、チームと球団の思惑は微妙にズレていて、まだこの日と明言しないのは、こういった事情があるからだと推測されます。チームの本音としては、もっと遅らせたいのでしょう。

それと同時に、あまり考えにくいことですが、もう一つ考えられることがあります。それは今出ている15日か17日というのも、ただのアドバルーンかもしれないということです。

たとえば、本当はGW中ぐらいの復帰登板がすでに決まっていて、それをあえてごまかしているという捉え方です。この情報戦はもちろん対相手チームに対してです。なぜなら他のチームにとってみたら、マー君が出てくるのかその人が出てくるのかで準備が全く変わります。スコアラーの動きも、立てる戦略も、選手一人ひとりが行う準備も変わってくるのです。そういう意味では、もうすでにこの情報戦は始まっていたのです。

チームと球団の狭間で

一方、マー君本人にとってみれば、自分のやることに集中するだけです。間違いなく本人には、リハビリ開始時点で、トレーナーと首脳陣、また本人の間で、この日を目指そうという話があったはずですし、患部の状態によりますけど、復帰登板のXデーはすでに話し合われていて、本人はその日に向けて着々と準備を進めているはずです。それが今週なのか、来月なのか、真相は本人たちにしか分かりませんが、最高のコンディションでシーズンを最後まで戦える状態になってから復帰してもらいたいですね。ま、今はタイミング的に「マンボー」も出ていますし、球場を満杯にできるわけでもないですから、総合的にもう少し遅らせてもいいんじゃないかと思っております。

ではまた

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