嚥下の仕組みと食品を選ぶ際の基準とは？

はじめに

食べることや飲むことは命を維持するのと同時に、人間にとっては生きる上での大きな楽しみです。 
しかし、人は加齢に伴い少しずつ食べる機能が弱くなるため、自分の飲み込む能力に合った食事を知ることが大切。 

今回は、そんな人間の飲み込む能力＝嚥下（えんげ）のしくみと、嚥下しやすい食事をつくるための基準などをお伝えします。 

①嚥下とは

嚥下とは、口の中で咀嚼した食事を飲み込みやすい大きさに取りまとめて喉の奥へ飲み込み、食道から胃へ送り込むことを言います。 

人は普段、当たり前のように飲食を繰り返していますが、加齢などでその機能が低下すると、唾液や食べ物が間違って気管に入ってしまう「誤嚥（ごえん）」を起こします。 

さらに誤嚥した唾液や食べ物が肺へ入ると、「誤嚥性肺炎」によって命に関わる危険性もあります。 

②嚥下しやすいもの

高齢者などが、こうした誤嚥や飲みこみづらくなるといった嚥下障害を起こさないために、嚥下しやすいおすすめの食品を以下にまとめました。

１）やわらかく口の中でまとまりやすいもの 
粘度が低い食べ物はむせやすいため、ある程度の粘度があると口の中でまとまりやすくなります。 
口の中でまとめるには市販のとろみ剤や片栗粉などで適度なとろみをつけたり、すりおろした長芋や刻んだオクラなどを使ったりすると飲み込みやすくなります。 

２）一口で口に入り、噛みやすいもの 
食べ物を小さめの一口大サイズにすると思い通りに噛むことができて、前歯でかみ切る力が弱い方でも食べやすくなります。 

３）性状が均質、硬さが均一なもの 
薬と水が一緒に飲みこみづらい場合があるように、液体と固体といった違う物性のものや硬さが異なるものは飲み込みにくくなります。 

できるだけ物性や硬さが均一なものを食べるようにしましょう。

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③食品を選ぶ際の基準

介護食を作る方は、どんな食材を選べばよいか迷う場合も多いと思います。 

調理の工夫によってアレンジできるものもあれば、咀嚼・嚥下の過程で食べにくいものもありますので、以下のような知識を持っておくと食材選びの参考になるはずです。

<介護食に活用しやすい食材>

〇魚：加熱により身がしまって硬くなるため、脂ののった魚がおすすめ
　　　 例）まぐろ、かれい、からすかれい、ブリなど

〇肉：やや脂身のある薄切り肉がおすすめ 
　　　 例）牛肉または豚肉のロースやバラ肉など脂身のスライスなど

〇卵：柔らかい炒り卵のように調理すると食べやすい 

〇大豆製品：絹ごし豆腐、ソフト木綿豆腐がおすすめ  

〇野菜：カボチャ、長芋、なす、冬瓜、大根、野菜の葉部分など 
ほくほくした芋類は高齢者に好まれる食材ですが、むせやすいので注意が必要です。細かくつぶす、水分を含ませるような調理がおすすめです。

なお、食べる能力に合わせて製造されている市販品も、困った時の心強い味方になります。 
自宅での食事は全て手作りしようと頑張り過ぎず、適度に利用するのもよいでしょう。 

まとめ

以上、嚥下のしくみや、食品を選ぶ際の基準をご紹介しました。 

噛みにくい・飲み込みにくいなどの障害がある場合、食事の時間が苦痛だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
料理の見た目や香り、料理の温度、彩りに気を使ったりすると、食欲増進と共に唾液分泌が促進されるため、口腔内を潤して飲み込む助けにもなります。 

もう年だからと諦めることなく、食事を楽しみながら嚥下障害を予防するための方法をぜひ日常生活に取り入れていきましょう。 

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