見出し画像

大人げないおとな

私には5歳離れた兄がいる。よく遊んでいた親戚もその兄より年上のお兄ちゃんばかりだった。近所で一緒に遊ぶのも、だいたい年上のお姉ちゃん。学校に行き出すと、同級生とばかり遊んでいたし、私の人生で年下の子と遊んだり面倒をみたりする経験はほとんどなかった。

だからか、自分の子どもが生まれた時はどう接すればいいのか正直戸惑った。小さい子どもが嫌いだったわけではないが、興味を持つことがこれまでになかったので、はじめは母親というマニュアルに沿って、育児をこなすような感じだったかもしれない。そんなだったから、マニュアル通り=思い通りに進まなければ、苛立ちももちろん募った。

けれど、いつしかそんな苛立ちより可愛さの方が上回り、無償の愛を注ぎ続け14年。子どもの為なら死ねる、という母の思いを深く感じるまでに至ったものの、今でも私の子どもへの接し方は年上らしからぬものだと思う。(苦笑)

つまり、私の中の年上らしい接し方とは、鬼ごっこで手加減してあげたり、お絵描きでサポート役に回ってあげたり、おやつの多い方を譲ってあげたり。そんな“してあげられる”頼り甲斐のあるイメージだけれど、親になった今でも、鬼ごっこは全力で追いかけ続け逃げ切るし、お絵描きも自分は自分で描きたいものを描くし、おやつもジャンケンで決めたりと、とても大人げない。

表向きは、息子がひとりっ子なので、共に楽しんだり競い合ったりできる兄弟の役目も果たす親でありたい、そんな風に言っているが、実際のところは、遠慮の加減が分からなかったり、見守りや我慢が苦手なだけかもしれない。けど、私が辿り着いた答えは、嘘偽りを振る舞うより、正面から全力で向き合えば、子どもも私も楽しい!だった。

そんな私の中にも子どもに対する礼儀として守るべきルールがある。
①子どもの話していることやしていることを馬鹿にせず、真剣に聞く。
②同じ土俵に立たずして批判はしない。勝手に選別しない。

そのおかげで、息子の大好きだった電車も、ポケモンも、ゲームも、ひと通り私なりに制覇し、楽しんだ。そして今は、人生初のテニスを楽しんでいる。

どちらかというと率先して人を引っ張っていくタイプではないので、子育てでも、私発信の遊びが思いつかず悩んだ時期もあった。けれど、子ども発信の言葉や思いつきに本気で乗っかるだけで十分楽しめると知った。

頼り甲斐のない大人かもしれないけれど、子どもと一緒に本気で楽しむ、大人げないおとながいてもいいではないか!

(芹川)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?