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電車で困ったこと

車を運転することできない私は、電車で息子と二人でよく出かけた。息子が赤ちゃんだった時はもちろんベビーカーに乗せて電車に乗るのだが、電車での不憫な思いはいくつかある。

電車の進行方向を向いて座る2人掛けシートが2列並んだ車両。あれはベビーカー泣かせの車両である。まず真ん中の通路が狭く、ベビーカーを押して通れないものが多い。かといって、ベビーカーを畳むことは簡単ではない。子どものオムツや着替えなど、大きな大きな荷物がベビーカーの下には積まれているから。そして、座席が空いてたとしても、ベビーカーを通路に置いて道を塞ぐ訳にもいかないし、座席の前は狭く置き場所がないので、座席に座ることも難しい。

横向きのノーマルの座席車両でも、一番端っこの座席が空いていると、ドアの手すり辺りにベビーカーを置いて、自分も座りやすいのだが、端から2番目の座席が空いているとなると、、、ひとつだけ詰めてくれたらいいのになぁ、、、と座るのを諦めたりした。

ベビーカーの降車も慣れない頃は難しかった。前輪をウイリーのように上げながら降りるのだが、子どもの体重や積んでいる荷物が重たいと、なかなか前輪が上がりにくい。バックしながら降りてもいいのだが、乗客が多いと悠長に方向転換していられない。誰かがちょっとベビーカーの前を持ってくれれば、、、何度か思ったことがある。

特急など、次の止まる駅が遠い時、そのタイミングで赤ちゃんに大声で泣かれると、あやしたりする逃げ場がなく、とても困る。「赤ちゃんは泣くものだし」とみんながみんな理解してくれるわけでもないし、公共の乗り物なんだから、自分たちだけ優遇してくれとも思わない。できるだけ迷惑が掛からないようにと配慮してはいるが、赤ちゃんの泣きは私の意志ではないし、どうすることも出来ない時もある。要求を満たすアイテムを鞄から出したりと、できるだけの対応をしたものの、真横で耳を塞がれて大きなため息をつかれた時は、心が折れそうになった。

私も子どもを産むまでは、そんな母親の配慮や苦労、思っていることなど考えもしなかった。経験して初めて分かったこと。だから、せめてそんな経験をした私から、自分がされて嬉しかった小さなアクションを起こしている。小さな子どもを連れて電車に乗ってきた親子がいたら、微笑みかける。了承を得られれば、降車時にベビーカーを少し持ち上げてあげる。端の座席を譲ってあげる。

こんな小さな小さなアクションだけど、あの時の私はそれがどれほど嬉しかったことか。これからも、してもらったことは忘れずに、後に続く人たちに返していきたい。

(芹川)

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