見出し画像

カーボンプライシングとGX戦略(4)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、4回目です。

3回目では、「やるコストよりやらないリスク」を考えましょうということをお伝えしました。

「やるコスト」はある程度予測できる一方、「やらないリスク」は計り知れない。だったら、「やるしかないでしょ」というお話でした。

今回は、物事の判断基準、企業の判断基準は、売上や収益といった「金銭価値」から、CO2に代表されるGHG排出量といった「環境価値」にシフトしているという話です。

これを、戦略的に利用しようというご案内をしたいと思っています。

日本にいると全く気づきませんが、世界に目を向けると、すでに「tCO2」の世界にシフトしています。そう、既に動いているのです。

事業税や所得税、住民税などは全て「課税所得」に基づいて税額が決まりますが、炭素税は「排出量」に基づきます。

EU-ETSやCN-ETS、CORSIAなどの排出量取引制度もそうですし、導入が決まったEUのCBAMも同様。

つまり、収益を上げていても、同様に排出量も増えていれば、税引き後の当期利益は増えない訳です。海外では、排出量削減への強烈なインセンティブが働いています。

GX戦略では「カーボンプライシング」という形で、環境コストの内部化が推進されます。なので、遅ればせながら、日本企業の事業経営にも影響が及んでくることになります。

このような背景の元、事業経営と大上段に構えるのではなく、日々の工場・事業場のオペレーションで考えてみましょう。例えば、要因は様々あれど、昨今の電気料金及び燃料費の高騰は目を見張るものがありますね。

ということで、コスト削減に血眼になっている、乾いたぞうきんを絞りまくっているという、企業も多数いらっしゃることでしょう。

その絞った価値、電気料金や燃料費の削減だけに留めておくのはもったいないです。直接・間接のエネルギー使用量の削減は、もれなく、CO2排出量の削減も行っていることになります。

「金銭価値」だけでなく「環境価値」も生み出しているのです。

電気料金の削減に当たっては、様々な手法があります。
この中で、上図の1〜3は「金銭価値」を教授していることになります。
私がご案内したいのは、4番目の「カーボンプライシング」です。

もう一度、GX戦略に盛りこまれていた「成長志向型カーボンプライシング」を説明しますと、こういうことです。

ですので、GX経済移行債を活用しなければ、そのあと、炭素賦課金や排出量取引市場において取引される排出枠の有償オークションを通じて「徴収」されてしまうのです。 

で、政府もうまく考えたもので、企業のCO2排出量が減少していくと税収も減少していくので、その範囲内で賦課金や排出。枠も増やしていく予定です。痛みは変わらないから、文句も言われないだろうと。(まぁ、常套手段ではありますが)

 

なので、将来の税負担をより軽減し、上図の実線に近づけるためにも、排出量の削減を積極的に、それも、なるべく早く、実施する必要があります。

GX経済移行債をいち早く活用すれば、上図のピークアウトに至る経路ではなく、たった今から、下落トレンドへ載せることが可能です。

GX推進機構が主体となって、GX投資の支援をしていくことになります。
まだその全容は見えていませんが、継続的にウォッチし、適宜ご案内していきたいと思います。

ここまで、GX経済移行債の活用の意味についてご案内してきました。
次回は、排出量削減がもたらす別のベネフィットについて説明したいと思います。

引き続き、お付き合い下さい。


もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。