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政策を成功に結びつけるCCTSD

ローカルな話で恐縮ですが、昨日の23年2月19日、地元佐賀県は鳥栖市の市長選挙の投票日でした。5期目を目指す現市長に、県議4期の実績をひっさげて挑戦する自民推薦の新人の対戦。自民は現市長に4期連続で敗れているところ、論点も多く、注目されていました。

結果は、新人が702票差で現職を破り、初当選でした。(ちなみに、小学校の先輩で、一緒に少年野球をやったりしてました)

この結果とその要因をつらつらと思っているうちに、これって、環境政策を始めとする施策の成否につながるなぁとの思いに至りました。

1.Consistency:一貫性
2.Continuity:継続性
3.Transparency:透明性
4.Support:支援
5.Disclosure:開示

上記が、成功の5要素のように思えてなりません。
(CCTSD success factors:なんかちょっとカッコイイ)

今回の選挙戦の目玉は、鳥栖駅周辺整備。

鳥栖は九州の交通の要衝、高速・鉄道が交わる「Crossing-City」です。
JR鹿児島線から長崎線が分岐し、高速の大分道と長崎道は鳥栖ジャンクションで九州道とつながります。このジャンクションは、東洋一の完全クローバー型として人気を博したこともありました。

1889年(明治22年)12月11日に開設され、その後明確なリニューアルがされたことのない鳥栖駅は、歴史を感じる構造物であると共に、他方、鉄道の町鳥栖を分断する象徴でもあります。

駅の東側に改札がないため、西側と比較し、圧倒的に開発が遅れていました。JFL鳥栖フューチャーズ(現 J1サガン鳥栖)のホームスタジアムが建設された際に、跨線橋「虹の橋」が建設されたものの、効果は限定的でした。

そこで、鳥栖駅東口の建設を含む駅周辺の整備を行うために、当時の現職に新人として挑戦したのが、現市長でした。

ですが、様々な要因があるにしろ、3期12年をかけて一向に進展せず、4期目当選を果たした際には、わずか10票差でした。これに危機感を抱いて計画推進を図るも、耐震性の劣る市庁舎の建て替えや、ゴミ処理施設整備事業推進の不手際等々で、発表から1週間をたたず白紙撤回。

今回は、ようやく大型の企業誘致に成功して財源も確保できたことにより、仕切り直しの選挙戦となったわけですが、「4期かけてできなかったことが、果たして5期目で実現出来るのか」という疑念や、多選批判もあり、敗れることになったのではないかと思っています。


これを踏まえると、何と言っても「一貫性」「透明性」「開示」という要素が欠けていたことが明らかです。

確かに、初当選から「駅前整備は自身の一丁目一番地」としていたこともあり、細々とした「継続性」はあったかもしれませんが、市民にとっては、「財源がないから止めます」「財源の目処がついたから再開します」という、最初と最後しか分からないわけです。

どのような議論があったかは、ブラックボックスなのです。市長としては逐次「開示していた」と主張するところでしょうが、「伝えた」かではなく「伝わったか」です。

財源及びその変動要因なんて始めから分かっていたこと。それを理由にして、コロコロ態度を変えるのは「一貫性」を欠くと言わざるをえない。

果たして、引導を渡されたということでしょう。


ということで、環境施策に思いをはせると、「排出量取引制度」です。

2002年、京都議定書批准を受けて、2005年に環境省は自主参加型国内排出量取引制度(JVETS:Japan’s Voluntary Emissions Trading Scheme)を開始。2008年には,洞爺湖での G8 サミットを受けて、排出量取引の国内統合市場の試行的実施(国内排出量取引制度)が始まりました。

この後、民主党政権における3年余を経て、再び自民党政権。

昨年より、「GXリーグ構想」として「GX-ETS」の議論が始まり、今年23年4月より、第1フェーズが開始されることは、ご案内の通り。

この「GX-ETS」前の議論は、まさしく「CCTSD」を欠いていました。

CCが無ければ、予見可能性がなければ投資判断できません。
Sが無ければ、未経験の分野への参入は慎重にならざるをえません。
TDが無ければ、ステークホルダーに対する説明もできません

「民」主導で進める建て付けの「GX-ETS」はその点を踏まえているとは思いますが、どうでしょうか。

あくまでも、どこまでも「自主的、ボランタリー」ベースの制度とするという「一貫性」はあるように思うものの、どこまで耐えられるのか。「継続性」は担保されるのか。「支援」はいかほどのものか。

間もなく開始となる、GX-ETS、目が離せません。


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