第1回 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG(3)
3月26日開催の「金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第1回)」の内容を紹介しています。
当日の資料はDLできるのですが、残念ながら、ライブ映像は非公開。ですので、見逃してしまった方のお役に立てるよう、ご紹介できればと思います。
さて、ワーキンググループで議論する事項として示されたのは、次の5点なのですが、1.及び3.についての説明が中心でした。
前回までで、このワーキンググループが設置された背景と目的、有価証券報告書の非財務情報開示欄において開示が求められる企業及び開始時期について説明しました。
今回は、3.適用義務化スケジュールについてご案内します。
開示の「義務化」が始まるのは、CSRDにおけるEU域外企業への適用が始まる2028年12月期に揃えることが、既定路線と思われます。
開示時期については、さらに、サスティナビリティ情報開示が財務諸表と同時か否かという論点もあります。ISSBは、財務情報とサス情報は同時開示を要求しているところ、適用開始当初から求めるのは難しいのではないかということ。
これについては、ISSBも認めている経過措置を参考に、同等の緩和措置を検討すると説明されました。
かつ、「セーフハーバー・ルール」を設けるとのことで、委員の方々も一様に賛同されたことから、導入は間違い無いでしょう。
プライム市場上場企業全体及びスタンダード、グロース上場企業への展開については、このワーキンググループの将来的な議論項目となります。
他方、保証を求める時期については、ワーキンググループの主要課題です。簡単に言うと、開示義務化に揃えるか否かです。
ちなみに、GHG排出量については「検証」、QMSやEMSなどのISOマネジメントシステムについては「審査」、会計については「監査」と称呼すると思いますが、こと、「検証」と「監査」については「保証業務」の認識に相違があると考えています。
こちらについて、個人的な見解を別のnoteで紹介していますので、もしよろしければ参照下さい。
閑話休題、ISSB基準は、テーマ別では気候関連開示(S2)しかありませんが、ESRSはESG全般に亘ります。加えて、セクター別(sector specific)や上場中小企業(LSME)向け、自主的に開示する中小企業(VSME)などのバリエーションがあり、EFRAGにおいて鋭意開発中です。
これについては、「2.任意適用促進施策」や「4.プライム上場企業以外への適用拡大方法」において、議論されることになると思います。
EFRAGにおける、全セクター対象のESRS(sector agnostic)以外の開発状況についてはnoteで随時お伝えしていきますので、チェックして頂きますと幸いです。
以上がワーキンググループで報告された主な内容ですが、「事務局説明資料」では、各国における気候関連開示規則の概要も紹介されています。
3月6日にようやく明らかになったSECの開示規則も含まれており、非常に参考になります。官僚の皆さんの成果物を、有難く使わせて頂きましょう。
当日使用はされませんでしたが、「事務局参考資料」では、フランス・インド・香港・オーストラリア・ブラジル等のサスティナビリティ開示・保証制度も概要説明されています。日米欧以外は中々情報収集できないところですので、大助かりですね。
ということで、3回に亘ってお届けしてきた、ワーキンググループの概要説明、いかがだったでしょうか。何分、1回だけの視聴を元にしていますので、誤解・間違い等色々あるかと思います。
皆さんからフィードバックを頂けますと助かります。
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