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排出量算定従事者マストデータ〜その2
排出量の算定に関わる人にとって抑えておきたいデータとして、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」をご案内しています。
日本における排出量を分野別に見ると、このようになっていました。
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皆さんもお察しの通り、エネルギー分野が圧倒的です。
総排出量の、実に86.5%を占めています。
今回は、その中身を見ていきたいと思います。
再生可能エネルギーの導入が進んでいるとはいえ、やはり、屋台骨を支えるのは依然として、化石エネルギーです。
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2011年の震災後一時上昇し、穏やかに減少してきているものの、依然として80%以上依存しています。
その内訳がこちら。
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燃料の燃焼からの排出が 99.2%を占め、うち、固体燃料からのCO2排出が 40%と最も多く、液体燃料の36%、気体燃料の22%と続いています。
固体燃料というと…..
そう、石炭なんですねぇ。
フェーズアウトや廃止が叫ばれ、EUのタクソノミーからももちろん外され、欧米からは資金流入が期待できない石炭ですが、「どっこい、しっかり活きている」ってところでしょうか。
一次エネルギー国内供給に占める石炭の割合は、約1/4(24.6% 2020年)。
石油が36.4%、LNGが23.8%。
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固定燃料(石炭)と気体燃料(LNG) がほぼ同じ割合ながら、排出量は約半分。排出係数の大きさが効いています。
これが現実だと、つくづく感じてしまいました。
とはいえ、LNGも排出していることには変わりはありません。
EUタクソノミーでも、原子力と併せて対象となってはいますが、あくまでも「移行期間」にのみ許容される技術という位置づけです。
いずれにせよ、「リデュース」が大原則は変わりありません。
続いては、工業プロセス及び製品の使用分野。
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オゾ ン層破壊物質(ODS)の代替製品の使用に伴うHFCs 排出が 51%と最も多く、セメント製造時のCO2排出等の鉱物産業からの排出(31%)、金属製造からのCO 2 排出(5%)がこれに続いています。
1990年度からの排出量の減少は、モントリオール議定書批准を受け「ODS の代替製品の使用」からのHFCs 排出量が増加したものの、HCFC22の製造時の副生 HFC-23(化学産業)が減少したこと、クリンカ生産量の減少に伴うセメント製造時のCO2排出量(鉱物産業)が減少したこと、ナイロンの下料となる、アジピン酸製造におけるN2O分解設備の稼働によるN2O排出量(化学産業)が減少したこと等により、分野全 体では減少していると分析されています。
これが個人的には、一番の驚きでした。
2020年の排出量で言うと、エネルギー分野が9億9,400万トン、工業プロセス及び製品の使用分野は1億140万トン。比較すると圧倒的に少ないのですが、そのうちの半分を、代替フロンへの転換に伴う排出量が占めているのですから。
総排出量の5%もあります。
これが、モントリオール議定書で禁止されたからと言うことで、オゾンを破壊しない代替フロンへ変更したことによって増加した、CO2排出量とは…
トレード・オフとは、まさにこのこと。
温暖化係数が小さいCO2へ冷媒の移行が進んでいますが、どこか、納得できない自分がいたりします(笑)
続いては、農業分野。
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2020 年度の農業分野の温室効果ガス排出量の内訳を見ると、稲作からの CH 4 排出(37%)が最も多く、家畜の消化管内発酵に伴うCH4排出(24%)、窒素肥料等の施肥に伴うN2O排出等の農用地の土壌からのN2O排出(18%)がこれに続きました。
1990 年度からの排出量の減少は、無機質窒素肥料施用量、家畜ふん尿由来の有機質肥料施用量の減少により農用地の土壌からの N2 O 排出量が減少したこと、乳用牛の頭数の減少により家畜の消化管内発酵に伴う CH 4 排出が減少したこと等によるものらしいです。
割合としては大きくはないものの、農業分野からの排出量も無視できない、というコンセンサスが得られてきているように思いますが、その中でも、主食であるお米の生産に起因する排出量が、全体の1/3を占めているんですね。
とはいえ、家畜起因も合計すると稲作を超えています。
飼育期間の長さや、飼料・水などの使用等々を考慮すると、排出量を減少させるには、肉食から草食へ、ではないですが、食習慣の変更が有効である点は論を俟たないですね。
最後は、廃棄物分野からの排出量。
これが、個人的には一番関心が高く、削減ネタの宝庫と考えています。
ホットスポットだとの認識です。
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内訳を見ると、廃プラスチックや廃油等の化石燃料由来の廃棄物の焼却等に伴うCO2排出が 57%と最も多く、固形廃棄物の処分(埋立) に伴う CH 4 排出(13%)、排水の処理と放出に伴うN2O排出(10%)がこれに続いた。
そう、焼却と埋め立てです。
これについて、産廃業者さんとコラボして、排出係数出せないかと考えています。というのも、算定の実務では、ほぼほぼ、環境省のデータを使わざるをえない状態となっているからです。
カテゴリー5、13を減らすには、活動量を減らすか無いのが現状。
もちろん、「リデュース」はまず最初にやるべきことですが、これとて、生産量が増えれば併せて増えてしまう。自助努力の及ばないところとなっているのです。
ここに、何とか切り込んでいきたい!
とすると、デフォルト値ではなくオリジナルな係数をせざるを得ない。
出している事業者がいないのであれば、やるしか無い。
他社差別化として、これ以上のものは無いと思います。
チャレンジしてみませんか。
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