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排出量算定従事者マストデータ〜その1

日本の温室効果ガス排出量を見る上で重要なデータとして、以前、環境省と経産省が発表するデータをご紹介しました。

ですが、もう1つ忘れていました。それも、「日本」として重要な報告書を。それが、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」です。

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第4条1及び第12条1に基づいて、附属書I締約国(いわゆる先進国、もちろん、日本も含まれます)は、毎年自国の温室効果ガスインベントリを作成し、4月15日までに条約事務局へ提出することが義務付けられています。

日本も毎年作成し、推計・公表するとともに、排出・吸収量データ及び関連情報を含む温室効果ガスインベントリを条約事務局に提出しています。

そうです。これが、日本の対外的な公式の温室効果ガス排出量なのです。

ちなみに、インベントリとは、一定期間内に特定の物質がどの排出源・吸収源からどの程度排出・吸収されたかを示す一覧表のことです。気候変動・地球温暖化の文脈では、一国が1年間に排出・吸収する温室効果ガスの量を取りまとめたデータのことを、一般的に「温室効果ガスインベントリ」と呼んでいます。

地球温暖化の抑制に向けては、温室効果ガス排出量が平均気温の上昇にどのように影響するのか、どのような対策でどの程度排出量が削減可能なのか、といった情報を基に、様々な政策を講じていくことが必要となります。

ここで、温室効果ガスがどのような排出源からどの程度排出されているのかを把握するために重要な役割を果たしているのが、温室効果ガスインベントリなのです。

なお、このデータと環境省のデータは同じです。
ただ、ガイドラインでは、大きく次の4つのカテゴリーに分類して報告すること及び、算定の過程を含めることを求めている点が異なります。

・エネルギー
・工業プロセス及び製品の使用
・農業、森林及びその他土地利用変化
・廃棄物(Waste)

さて、この報告書、700ページ以上あります。
とても読んではいられません。
ということで、トピックを簡単にご紹介しますね。

まずは、温室効果ガス7ガスの割合から。
(LULUCFは忘れて下さい)


我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量の推移

2020 年度の CO 2 排出量(LULUCF を除く。間接 CO 2 を含まない。以下、定義省略。)は 10 億 4,200 万トンで、温室効果ガス総排出量の 90.6%を占めています。なので、「温室効果ガスの排出量=CO2排出量」と考えても、およそ間違いはないですね。

つづいて、先に述べた4つの分野別排出量はこちら。
(同じく、LULUCFは忘れて下さい)

各分野の温室効果ガス排出量及び吸収量の推移

総排出量に占める割合は、エネルギー分野(間接 CO2 を含まない。以下、定義省略。)が 86.5%で圧倒的です。その他、 工業プロセス及び製品の使用分野(間接 CO 2 を含まない。以下、定義省略。)が 8.8%、農業分野が 2.8%、廃棄物分野が 1.8%、間接 CO2 排出が 0.2%。

エネルギー分野は、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料を燃焼させた際に排出される温室 効果ガスを扱う「燃料の燃焼」と、人為的な活動からの意図的又は非意図的な化石燃料由来 のガスの放出を扱う「燃料からの漏出」という 2 つの主要なカテゴリーからなります。

ですので、まさしく、改正前の省エネ法におけるエネルギーの定義、「燃料並びに熱及び電気」を排出する分野ですね。これらの、エネルギー転換部門の脱炭素化がキモ、というのが一目瞭然です。

では、そのエネルギー分野内訳はどうなっているのか。
ちょっと長くなってきましたので、次回ご案内しますね。
お楽しみに。

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