COP27前のクレジット動向を確認(1)
昨日から始まった、COP27。
仕事しながら、公式サイトでプレナリーのライブ映像をラジオ感覚で聴いていましたが、特筆すべき点は何も無し。(当たり前ですが)
ただ、ベラルーシからの代表団が呼ばれたのに「ダレモイナイ」
「なかなかやるなぁ」
その前にウクライナが「ロシアが、全面的な戦争を仕掛けているため、排出量などの算定が難しくなっている。ウクライナ侵攻が気候変動対策での国際協力を貶めている。」と批判したので、さて、どう反論してくるのか、と期待したのですが。
閑話休題、実質的な議論開始の本日7日、10:00からの予定が11:30からようやく開始されるなど、初っぱなから波乱含みのスタートとなった、というネタはあるものの、具体的な進展はまだありません。
ということで、カーボン・クレジット関係のこれまでの動向を、確認しておくことにしましょう。
重要なポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
「1.高品質なクレジット」についてはnoteで何回かご紹介してきましたが、「どのようなクレジットが高品質なのか」という「創る側」の基準と、「どのように使うべきか」という「使う側」の基準、の両面で統一化の動きが進みました。
クレジット周りの動きは非常に早いので、既にご案内した内容も古くなってきています。
例えば、「創る側」の基準として「CCP:Core Carbon Principles」という原則がのドラフトが、TSVCM(the Taskforce on Scaling Voluntary Carbon Markets)により公開されました。
高品質なクレジットであるためには、以下の10のクライテリアを満たすことが必要であるというものです。
その「TSVCM」は、今は「ICVCM:Integrity Council for the Voluntary Carbon market(自主的炭素市場のための十全性評議会)」という名称に変更しています。
「使う側」の基準は、VCMIがドラフトを公開している「Code of Practice(CoP)」が、統合的な規格に近い位置にいると思います。ファイナライジングは来年になる模様。
「2.情報開示」もホットな話題なので、繰り返しご案内しています。
アルファベットスープ化していたイニシアチブが統合したり、欧米日英で綱引きしたり、金融セクターにおける非財務情報の扱いが重要視される中で、気候変動や持続可能性の情報開示のルールが明確化されてきたり。
とにかく、追いかけるのが大変です。
「3.インフラ」という単語にするとピンとこないかもしれませんが、簡単に言うと、「どのようなクレジットが、どこにどれだけあるのか」という情報(=登録簿)が分散しているので、利用が進まない。なので、それを統一する「インフラ」を整備しましょう、ということです。
カーボン・クレジットは、様々なプログラムオーナーがあって、様々な種類のクレジットを定義し、それぞれの登録簿に記録しています。VerraのVCSなどが代表的ですよね。
日本では、GXリーグがそのようなインフラ整備を進めています。
現在、JPXでJ-クレジットのみを対象にした排出量取引(GX-ETS)のトライアルを実施中です。こちらについても、シリーズでお届けしました。
ただ、CO2の排出に国境はありません。
SBTiやCDPが推進する、BVCM(バリューチェーン外での排出量削減)も、グローバルにカーボン・クレジットが取引できなければ、効果は限定的。
アフリカのように、クレジットの収益が必要なところに、資金が還流していくためには、グローバル市場が必要なのです。
ということで、IETA(International Emissions Trading Association)、World Bank、シンガポール政府、その他の政府、公共及び民間機関が、「Climate Action Data Trust」という組織を10/26に立ち上げました。
このような、3つのポイントを始め、その他のカーボン・クレジットに関する様々な規格、ルール、基準づくりが、COP27を受けて大きく動き出すことになります。
具体的な内容が漏れ聞こえてくるのは、週の後半からだと思います。
それまでは、現状をご案内しながら「成果」を待ちたいと思います。
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