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ESGに対する考察(2)

ESG及びカーボンクレジットの普及が進むに歩調を合わせて「格付機関」や「環境インデックス」が勃興。必ずしも、その任を果たせないものが出現し始めたことを受け、投資家保護を目的に「格付機関」に対する規制を強める動きが、にわかに起こり始めた、というところまで、1回目でお話ししていました。

2回目はその続きから。
では、その規制はどこからくるのでしょうか?

そうです、その先鋒はやはり欧州です。

EUの持続可能な金融の枠組みが、企業や金融部門を引き続き支援し、同時に、移行プロジェクトや技術に対する民間の資金調達を促進することを目的とする施策パッケージの一つとして「ESG(環境・社会・ガバナンス)格付プロバイダー規制案」を欧州委員会が提示。

英国も、それに続きます。

ただ、そもそも、事業を行っている企業が適切に開示していなければ、ファンドも格付機関も、正しい投資・格付が行えるはずもありません。

なので、7月14日、オーストラリアの競争規制機関であるオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、企業によるグリーン主張の完全性を向上させ、グリーンウォッシュから消費者を保護することを目的とした、新しい環境およびサステナビリティに関する主張のガイダンス草案を発表しました。だだ今パブコメ中です。

新しいガイダンスは、ACCCが今年初めに発表した調査結果に基づくもので、調査対象となった企業の57%が、自社の環境保全に関する主張について不適切な主張を行っていたことが明らかになったことを受けたものとのこと。半数強だから、相当ですよね。

発行企業の担当者の力量が不十分であったのではという理解の下、ACCCは、グリーンウォッシングの可能性がある企業を調査し、環境主張の完全性を向上させるために、企業への教育活動を実施する内容を盛りこむとしています。

と、ここまでESG投資、高品質なクレジットを「肯定」する前提の話をしてきましたが、米国では、真逆のことが起ころうとしています。

下院金融サービス委員会の共和党議員は24日、資本市場や金融市場におけるESGイニシアチブの影響力を後退させることを目的とした一連の法案の提出を発表したとのこと。

企業が重要であると判断した問題についてのみ報告を義務付けること、企業が委任状からESG関連の株主提案を除外することを認めること、気候関連の財務リスクについて規制当局が協力する能力を縮小することなどが含まれているそうです。

企業に対するESGや気候変動関連の開示要求の実施に向けた取り組みを頓挫させる、あるいは、持続可能性の問題について投資家が企業と関わる能力を低下させることを企図したものと言ってよいでしょう。

まぁ、フロリダでは、州や自治体の投資決定や政府との契約プロセスにおいて、ESG要素を考慮/使用することを禁止する法律が成立したりと、米国では、反ESGが特に共和党議員の間ではホットですので、分からなくもないですが。

ということで、ESG投資/クレジット周りの最近の動向をレビューしてみましたが、いかがだったでしょうか。

個人的には、「ウォッシュ」という言葉がホットワードになりすぎていて、単純にヒット数を上げるためのツールになっているのではないか、という問題意識を持っています。

例えば、このような消費者団体による、エアラインに対する訴訟問題。

「欧州の航空会社17社がマーケティング慣行に関してグリーンウォッシングを行っており、不公正な商行為を規制するEU規則に違反している」というもの。

確かに「ウォッシュ」は許されざる行為ですが、何でもかんでも「ウォッシュ」というレッテルを貼って糾弾するような風潮は、断固として反対したいです。

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