見出し画像

CBAM移行期間のルールが最終決定(4)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容をご案内。

3回目からは、フィードバックを受けて、最終版がドラフト版からどのように修正がなされているかを、確認しています。

前回は、附属書の報告リストの前半を見ましたので、今回は後半です。
両者を横並びで比較しており、赤字は最終版で追加となった項目、青字は削除された項目です。

前半と比較すると、さほど大きな修正は入っていないように思えますね。
URI→Universal Resource Identifiedや、MIME→Multiple Internet Mail Extensionsのように、単純にスペルアウトしているものも入ってますし。

報告情報項目比較(2)

「Direct Embedded Emissions」に赤字が目立ちますが、内容を見ると「Electricity Imported」、輸入電力に関わる項目であることが分かります。

CBAM第一弾では、セメント・電力・水素・肥料・鉄鋼・アルミニウムの6品目が対象となっていることを思い出してください。「電力」という製品の輸入なので、「Direct Embedded」になるんですね。

前回ご案内した「組込炭素排出量の算出に係る特例」と同様、この報告内容もドラフト版に無かったこと自体がおかしいわけで、単純に「抜け漏れを訂正しました」というレベルでは無いでしょうか。

内容についても、ドラフト版から最終版への変更に当たっては、曖昧だった表現を明確にしたり、複雑だった構成を分かりやすくしたり、利用者を混乱させないような章立てにしたり、といった改訂方針で進められたのでは?と思えました。

例えば、附属Ⅰについて、ドラフト版では報告項目が一つの表で表されていたのに対し、最終版では、構成要素と詳細要素に分割されていました。

ドラフト版
Table 1:Mandatory, optional and conditional fields in the CBAM report
最終版
Table 1:CBAM report structure
Table 2:Detailed information requirement  in the CBAM report

表自体も適切にインデントされており、見やすさに配慮されていました。
章立てについても、変更が加えられていました。

附属書Ⅱ
ドラフト版:商品の生産ルート
最終版:商品の定義と生産ルート

附属書Ⅲ
ドラフト版:A.定義と原則
最終版:A.原則

附属書Ⅰは報告すべき項目リストでしたので、附属書Ⅱから具体的な説明が始まるのですが、定義が後回しであれば、読み進める上で不親切ですよね。

全体的なイメージとして、「フィードバックの内容を反映させよう」という意思は、はっきり言って感じられませんでした。

1.機密情報の扱い
2.EU-ETSに対する不公平感
3.炭素価格の定義
4.緩和措置や移行措置、算定方法について
5.WTO違反について

フィードバックのポイント(著者判断)

次回は、追加/削除/変更ポイントで気が付いた点をご案内しようと思います。
是非、皆さんご自身で判断頂けたらと思います。


もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。