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IEAの再生可能エネルギー分析レポート

IEAが12月6日に公表した、再エネの動向についての報告書については、既に日経等で報道されているので、ご覧になった方も多いかと思います。

内容としては、日経が伝えているとおり、下記の3点でしょうか。

1.25年始めには再エネが石炭を抜いて最大の発電源になること
2.エネルギーセキュリティが再認識されたことが要因
3.欧米・中印が再エネ転換を牽引する

160ページの長文(かつ英文)レポートですのでとても読んでられませんので、
プレスリリースを斜め読みしてポイントを抑え、レポートの該当箇所を読み込んでみました。


1.再生可能エネルギーの成長を上方修正

IEAは、2020年の報告書の中で、2022年から2026年の間に世界中で1,092GWの発電容量が追加で建設されると予測していました。

2021年はこれを 1,496GW に引き上げていたところ、今回の報告書の主要シナリオでは、この 5 年間に424GW の自然エネルギー容量が追加で建設されると推定しています。

これはインドの全電力容量にほぼ匹敵するものだそうで、21年の見積もりからは28%増加、20年の予測からだと76%の大幅増加となるみたいです。

IEA が最新の分析で追加した 1 年分と合わせると、2027 年末までの総増設量は 2,383GWとなり、これは中国の総発電容量に匹敵するというから、凄まじい量です。

再生可能エネルギーの年間導入量[GW](Carbon Brief およびIEAレポートより)

2.再生可能エネルギーが化石燃料を追い抜く

下のグラフが示すように、IEAは今後5年間で太陽光発電の設備容量が他のすべての電力源を追い越すと予想しています。メインケース予測では、2026年に太陽光発電がガスを、2027年に石炭を設備容量で追い抜くそうです

自然エネルギーの累積導入量[GW](IEAレポートより)

また、2025年初頭には自然エネルギーが石炭を抜いて最大の発電源となり、2027年には風力と太陽光で発電量の5分の1が賄われると推定しています。

電源構成の変遷(IEAレポートより)

とはいえ、これだけ今後5年間で自然エネルギーが増加すると予測されるにもかかわらず、2030年までに全電力の61%を生産するという、IEAのネットゼロシナリオにはまだ合致していないとのこと。ハードルは高いですね。

3.ネットゼロには及ばない

2050年までにIEAのネットゼロシナリオに沿うためには、再生可能エネルギー容量の拡大速度を、さらに速くする必要があるんです。

どれくらい「速く」しなければならないか。

今回の報告書で評価した2022-2027年の期間では、さらに1394GWの再生可能エネルギー容量の追加建設が必要となり、合計で3777GW。

報告書では、現在実施されていない政策などにより、再生可能エネルギー容量が主要ケースよりも急速に増加するとしていますが、これでも2950GW。

こちらのグラフを見て下さい。

将来の再生可能エネルギーの累積導入量の推定値ですが、赤線が2022年版レポート、赤線の点線が同レポートの加速ケース、青線が2021年版レポートです。ネットゼロ(黄線)とのギャップは縮まってはいるんですけど。

再生可能エネルギーの累積導入量[GW](IEAレポートより)

つまり、現実的な施策だけでは「ネットゼロには及ばない」のですね。

報告書では、加速ケースに必要な追加措置は、各国政府が「政策、規制、許認可、資金調達の課題」に取り組むことだそうです。

先進国では、許認可と系統インフラの拡大が主な課題として取り上げられている。IEAによれば、EUはどの地域よりも大きな潜在能力を有しており、加盟国がこうした「既存の導入課題」を解決すれば、30%以上の容量を追加することが可能であるとのこと。

新興国については、「政策や規制の不確実性が、より迅速な再生可能エネルギーの拡大にとって依然として大きな障壁となっている」。発展途上国においては、安価な資金調達へのアクセス不足と脆弱な送電網インフラが障壁になっている、としています。


implementation COP」と称されたCOP27

確かに、COP26で合意したフレームワークを元に、様々な実施のためのルールが決まりました。ネットゼロにすぐには及ばなくとも、着実にGapは縮まってきます。

縮まってくると、成果が見え始め、成果が見えると、さらにそれを加速する動きにつながると考えます。

繰り返しますが、もう「やるかやらないか」の段階ではないのです。
それを「いつやるか」です。

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