見出し画像

環境関係のISOシリーズ

以前、環境、特にCO2の算定やLCA、フットプリントに関するISOについて、ご案内したことがありました。

今回、対象範囲を拡げてアップデートしました。

前回ご案内していたのは、主に算定の方法や算定結果の評価など「要件」に関わるところでした。今回は、増やしたのは、LCAやNet-Zeroを実行に移すための「具体例」や、ESG投資に関する「要求事項」に関わるものです。

なお、ご紹介し損ねていました、ISO14064ファミリー規格の構造や、CFP算定・コミュニケー ションに関する規格の相互関係も示しておきますね。

ISO 14064ファミリー規格の構造(ISO 14064-2:2019)


ISOにおけるCFP算定・コミュニケー ションに関する規格の相互関係(ISO 14067:2018)

さて、コーポレートガバナンスコードにおいて、プライム市場上場の要求事項として、TCFD相当の開示が規定されたこともあり、「排出量算定」は事実上マストとなりました。

そのため、プライム市場を選択した企業の約半数が、ようやく算定に着手し、初めてCDPの質問書に回答したようです。他方、これまで毎年CDPに回答していた企業は、次のステージ、Net-Zero目指して動き始めています。

「Race To Zero Campaign」国連が開始し、SBTiがNet-Zero Standardを策定するなど、その機運も高まっているところ。Net-Zeroの認証を受けた日本企業も現れ始めたことは、既にご報告しました。

つまり、「環境先進企業」としては、算定して削減活動を行っているだけでは不十分であり、「Net-Zero」を目指していて当然の状況となっています。

このような背景の下、「Net Zero」や「Carbon neutrality」についての規格作りが進行しています。

余談ですが、ですので、今後は「カーボンニュートラル」ではなく「カーボンニュートラリティ」と呼称することが標準になると思われます。


ESG投資については、カーボン・クレジットと同じくらい、「ウォッシュ」批判されることも多くなっていますね。さらに、ブームの波に乗り市場が拡大していたところ、急減速してきています。

米国の急速な利上げや、ロシアによるウクライナ侵攻、次々と現れて猛威を振るう、新型コロナウイルスの変異株などの影響を受け、世界的な株安がESG投資を襲っています。

まぁ、影響を受けているのはESG投資だけには限りませんが、訪日外国人と同じように、バブルであればあるほど、山が高ければ高いほど、谷が深いのも真実。

ということで、「グリーンファイナンスに関してもISOあるの?」という質問も受けたので、追加してみました。

「カーボンニュートラリティ」と同様、「サスティナブルファイナンス」についても標準化が検討されているようです。

件の、カーボン・クレジットも、ISOではありませんが、その品質や使い方についての標準的なルールが年内にもファイナライズされますから、来年以降は、安心して投資ができる環境が構築されそうですね。


なお、算定に当たっては、もちろん、ISO以外にも、ボランタリーなルールや、国連管理下のルールも存在します。

目的によって使い分けることになるかと思いますが、担当することになった場合には、是非とも原文に当たってみて下さい。最近は、翻訳ソフトが優秀ですから、日本語訳がリリースされていなくても、さほどハードルは高くありません。

このnoteでも、折に触れ、噛み砕いた説明はしていきますので、フォローして頂けますと幸いです。


もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。