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サスティナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG(第2回)

グローバルでホットな話題となっている「サスティナビリティ情報開示」
日本における、制度の枠組みを検討しているのが、金融庁。
「サスティナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG」です。

1年をかけて議論し結論を出すとして、3月に第1回が開催されました。
その議論を受けて5月14日、第2回が行われましたので、レジュメの内容を簡単に見ていきたいと思います。

内容に入る前に苦言を呈しておきたいのですが、会議の模様が、ライブでは公開されるものの、終了すると非公開となる点。アーカイブしていないはずはないのですが、当日観れなかったら終わりなのです。

ライブは修正が効かないので、後日クレームを付けられないようにという配慮かもしれませんが、経産省の件の件があったので、勘ぐってしまいます。

「金融庁」という伝家の宝刀を有している官庁なので、このあたりは、正々堂々として欲しいものです。

私も、ライブ参加できませんでしたので、議論の内容は全く分からないという前提で事務局の提案を説明している点、ご留意ください。

最初に、今回会合で議論する項目を確認しましょう。
論点は、次の4点となっています。

事務局説明資料 P28、29より

まずは「適用対象」と「適用時期」

事務局説明資料 P4より

第1回会合において、段階的導入については、ISSBでも採用されているし、一定の準備期間が必要な点は合意が取れたようなので、決定でしょう。ただ、任意適用については、積極的に進めるべきという意見に対し、エンフォースメントには慎重であるべきという意見もあったようです。

適用対象は、日本のこれまでの慣例から、時価総額で区分するのは適当としながらも、欧州のCSRDは売上高や従業員数も区分け対象にされていることから、CSRD対象となる企業も存在することを鑑みると、考慮すべきではという意見もあったようなので、どうでしょうか。

適用時期は、CSRDの域外適用が始まる2028年が目途となることが前提の議論で、加えて、日本の資本市場の対応が世界と比較して大きな遅れとならないようスピード感をもって適用を推進すべき点は異論がないようなので、こちらのついても、事務局案そのままが濃厚では?

開示基準の在り方というのは、つまり、SSBJ基準に基づいていれば、すなわち、ISSB基準に準拠していることになるのか否かということ。

事務局説明資料 P2より

これはもちろん、そうあるべきというのは論を俟たないことであり、金融庁としても「国際的なベースラインの基準となるISSB基準と同等であることが求められる」としているので論点ではないと思えますが、当のSSBJがお茶を濁しているのが気掛かりなところです。

というのも、SSBJ基準は、現在のところ強制適用時期を定めておらず、部分的な適用も可能としているところ、全てを適用しない場合は「準拠している」との記載はNGという立場。まぁ、金融庁がSSBJ基準の強制適用時期を決定すれば、曖昧な点はなくなるでしょうけど。

最後に「開示タイミング」
これが一番の論点ではないでしょうか。

というのも、前掲レジュメP4のように、保証をいつからつけるのか?
開示義務化を遅らせても、保証をセットにするのか。
任意開示を急ぎ、後追いで保証をつけるのか。
それぞれ、メリットとデメリットがあり悩ましい。

事務局説明資料 P15より

加えて、財務諸表とサステナビリティ開示の同時報告を、求めるか否か。ISSBも、報告初年度は許容しているので、同じ対応でよいとは思うものの、スコープ3の開示も要求していることを考慮すると、初年度のみの緩和措置で十分か否かも考慮する必要があるでしょう。

個人的には、財務情報と非財務情報を同等に扱おうとしている点で、間違っていると思っています。そもそも、データの粒度が違いすぎます。併せて、報告企業の判断に因るところが多いため、比較可能性は遙かに劣ります。

この「そもそも論」を踏まえた上で、委員の皆さんには検討してもらいたいですね。それこそ「机上の空論」は勘弁いただきたい。

ということで、今後、会合の議事録が公開されてから内容を確認し、情報をアップデートしていきたいと思います。

今しばらくお待ちくださいませ。

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