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CFPの算定・検証に関する検討会の進捗

経産省は製品ライフサイクル全体でのGHG(温室効果ガス)排出量の算定方針の見直しを進めています。私自身が算定支援をしていることから、バリューチェーン排出量の情報開示要求が高まる中、一次データを求める動きは拡大していることは肌身で感じています。(というか私もお願いしている立場)

で、この算定方針の見直しについて議論しているのは、経産省が立ち上げた「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証等に関する検討会(以下、検討会)」です。経産省が所掌していますが、環境省もオブザーバーとして参加しています

検討会は9月22日に第1回が行われ、10月27日に第2回、そして先日12月7日に第3回目が行われました。

第1回目の後、3回にわたって内容および私の意見をお伝えしていたところ、第2回目はフォローできておりませんでした。

第2回目では、自社製品の算定を行っている企業の取組や、ISO14067やGHGプロトコルなど、参照しているルールの紹介がなされました。

算定ルールについては、「Green x Digital コンソーシアム(以下、G&Dコンソ)」が推進している「CO2可視化フレームワーク」が紹介されました。

G&Dコンソは、バリューチェーン排出量の算定にあたり、一次データが得られない限り各社の削減努力が反映されない、という問題意識の元、JEITAが事務局となって立ち上がったコンソーシアムです。

現在、正会員131社、賛助会員5社、計136社となっているようです。

G&Dコンソは現在、実証実験を実施しています。JPXでも排出権取引の実証事業が行われていますが、社会実証が実現するのはいつになるでしょうか。

第2回目は、以下の点で議論がなされました。

1.準拠すべき算定ルール
2.バウンダリの設定
3.一次データの定義、計算方法、収集範囲
4.カットオフ基準
5.配分(按分)について
6.サプライヤー連携における課題
7.証書等の取り扱い(可否について)
8.検証の必要性及び保証水準(限定的保証・合理的保証)

第2回事務局資料より

ISOなのかGHGプロトコルなのか、はたまた算定報告公表制度なのかによって微妙に異なっているのが現実。厳密さに差はあれど、バリューチェーン排出量の算定を行っている企業にしてみれば、直面している課題ですね。

検討会を視聴していましたが、委員及びオブザーバーの方からの指摘、質問、要望は想定されている内容で、事務局としては「承りました」という感じだったのではないでしょうか。

そんな第2回目の検討会を受けた、第3回目検討会。

冒頭、「PCR(Product Category Rule)」という名称を「製品別算定ルール」と呼称することに変更した旨の説明がありました。稲葉先生の、「PCRと言うと、日本ではタイプⅢの環境ラベルを想起してしまう」との指摘があったからだそうです。

第3回目で議論されたのは、第2回目で議論できなかった下記の論点。

1.CFP概念の整理
2.算定者の意図に反して他社製品との比較に用いられることの防止
3.証書等の取り扱い(控除方法について)
4.その他技術的論点の取り扱い(バイオマス、土地利用変化、リサイクル)
5.オフセット

第3回事務局資料より

第3回目で議論された論点はあまり争うことが無く、実際、珍しく押すことも無く、予定より早く終了しました。

確かに、3は温対法の報告方法で問題ないですし(変えてもらっては困る)、4については、検討会で突っ込んだ議論をするにはテクニカルすぎる、5については、「削減が第一でオフセットはまかり成らん」というのが環境イニシアチブの立場ですから。

唯一「意図に反して比較に用いられることにどう対処するか」は、意見が出ていました。

「他社比較する場合には協議する」としても、協議の場に出てくれる他社なんていないでしょうし、「製品の機能や大きさ、価格等が異なるため比較が適切とは限らない」と主張しても、CFPの算定結果を明示すれば、消費者は比較するでしょう。

個人的には、「受け手」である私達消費者、生活者が「賢く」なるしか無いのだと思います。環境教育があってこそ初めて、地球にインパクトを与えない、エシカル消費、エシカル購入ができるのではないでしょうか。

そのために、必要な情報を提供するのが、「作り手」「送り手」の責務でしょう。食品に掲載されている、成分表示のようなイメージでしょうか。

この検討会の内容については、追ってGXリーグ賛同企業に対しても説明会がなされる予定ですので、より詳しい情報が得られましたらお届けしますね。

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