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SHK制度における排出係数の調整について

省エネ法及び温対法の報告期限が7月末に迫る中、担当部署はデーター収集及び整理に多忙な毎日ではないでしょうか。

義務化されている、毎年1%の原単位削減も達成できているか否か、集計してみて初めて判明する現実もあることでしょう。

SHK制度は国内法に基づいて実施され、国内のエネルギー使用量及び排出量を削減することを目的としていることから、以下のカーボン・クレジット等を用いて「調整後排出量の調整」を行うことができます。

国内認証排出削減量
・国内クレジット
・J-VER
・J-クレジット
・グリーン電力証書
・グリーン熱証書

海外認証排出削減量
・二国間クレジット(JCM) 

非化石電源CO2削減相当量
・非化石証書の値(kWh)×全国平均係数×補正率(以降、非化石証書)

上記の「カーボン・クレジット等」は、2種類に分類できます。

1.クレジット(国内・海外認証排出削減量)
・国内クレジット
・J-VER
・J-クレジット
・二国間クレジット(JCM) 

2.証書
・グリーン電力証書
・グリーン熱証書
・非化石証書

温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会 第1回資料より

1を使った調整は簡単です。

上図の①のように、トータルの排出量(直接・間接)から購入したクレジット量を差し引きます。(販売したのであれば加えます)

(正確には、クレジットを「無効化処理(ダブルカウントを排除するために、二度と使えない状態にする処理)」したトン数)

2が問題なのです。

まず、「証書」の計算の仕方は、上図の②のように、

購入した証書のkWhに全国平均係数をかけて、kWhをトン数に変換します。
そのトン数を、他社から供給されたCO2排出量(トン数)から差し引きます。

これは、「証書」というのは、他社から供給されたエネルギーの由来(属性)を説明するものなので、他者から供給されたエネルギーによる排出量(トン数)からのみ差し引くことができる、とする考え方です。

ここで、「グリーン電力証書」「グリーン熱証書」って何なの?って考えると、「非化石証書」と同様、属性を証明するものだよね、となる訳です。

ところが、これまでは、クレジットと同様に①で計算されてきました。
この点が、今、算定方法検討会で議論に上がっています。

なお、②の方法についても、非化石証書が、これまでは小売電気事業者のみが購入できたところ、昨年度から仲介事業者や需要家でも購入可能になったことから、取扱いをどのようにすべきか検討され、今年4月に決まったものです。

検討の流れからすると、グリーン電力・熱証書でも、同じ方向で検討が進むことは既定路線かと思います。

まぁ、「電力の使用」による排出量を削減する目的に購入される証書が、直接排出による排出量まで減らすことに使用できる、というのは、普通に考えてもおかしなことだとは思います。

「いくら排出しても、金を出して買ってくればいいのよね」という、モラルハザード、グリーンウォッシュにつながりますから。(その意味で、クレジットを批判する方がいるのも了承していますが)

ということで、これまで、グリーン電力・熱証書で排出量を調整していた事業者の方々、来年度以降の報告の仕方については、検討の状況をウォッチングされていた方がよいかと思います。

もちろん、こちらでも随時報告していきます。
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