カーボンプライシングとGX戦略(8)
「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、8回目です。
7回目では、行動を起こす動機付けになるような、排出量削減がもたらすベネフィットについて、「ゼロ→プラス」側面。「見える価値」「見えにくい価値」両方の可能性のある取組についてご案内したところです。
今回は、前回ご案内した、吸収・除去系クレジットの種類について、紹介していきたいと思います。
そもそも、どのような種類のクレジットがあるかというと、経産省がとりまとめた「カーボンクレジットレポート」ではこのように説明しています。
ここで、混同してはならないのが、クレジットとクレジット制度(システム)です。一つのクレジット制度の中に、いくつもの種類のクレジットがあるということです。
例えば、J-クレジットの中には、複数の「方法論」があり、その方法論にしたがって実施されたプロジェクトによる、様々なクレジットがあるのです。
その分類を大きく分けると、こんな感じです。
ご案内したいのは「吸収・除去系」クレジットですので、上表の下半分。
「自然ベース」と「技術ベース」とありますが、前者が植物の光合成による吸収で、後者が人為的な吸収のことです。
分かりやすいのは、森林吸収ですよね。
以前はJ-VERと呼んでいましたが、2013年から、国内クレジットというものと合併して、J-クレジットとなりました。
J-クレジットでは、この3種類の方法論が該当します。以降、J-クレジットの中の「森林吸収系クレジット」を、グリーンカーボンと呼ぶことにします。
さて、グリーンカーボンは、ほとんど全国で作られています。
発行の無い県は、山形・福井・山口・沖縄のみ。
前回ご案内したように、吸収・除去系クレジットを購入することは、BVCM、自社のバリューチェーンを超えたところでの削減に貢献することにつながります。
であれば、「地元のクレジット」を購入すれば、弊社は「地元の脱炭素に貢献しています」「自然を守る取り組みに協力しています」と謳うことができますよね。
そう、購入実績を自社のブランディング、広告宣伝活動に活用することができるのです。さらに言うと、プロジェクトの実施主体は自治体が多いことから、パイプを形成したり、入札にプラスになったりと、「見える価値」もついてきたりします。
ということで、全国のクレジットがある、グリーンカーボンを活用するのは、有効な手段であると言えます。
ですが、私のお奨めは、海域に棲息する海草や海藻、植物プランクトンなどによって海底の土壌に取り込まれる炭素である「ブルーカーボン」です。
これまでにも、何度かご紹介してきました。
詳しくはこちらを参照下さい。
そのブルーカーボンですが、今年試行事業4年目となっています。
このクレジットは、グリーンカーボンを始めとするJ-クレジットと同様、相対取引もできますが、スキームオーナーであるJBEが公募し、申込者に販売する形態もとっています。
その公募において販売されたクレジットの単価は、実に、¥70,000/tCO2を優に超えました。ちなみに、グリーンカーボンは、¥10,000〜¥15,000/tCO2くらいで売りに出ています。(売れているかは別の話)
つまり、明確に「見える価値」になっています。
公募では、公募にかけられたクレジットに対し、申込数で按分して販売されます。ですので、買いたかった量を購入できなかった企業も多かったと思われます。
まぁ、まだまだ創生されているトン数が少ないと言うこと、ご祝儀相場であることなどもあるとは思いますが、売り手買い手双方にとって、まだまだ恵まれた環境であると言えます。
だからこそ、noteで何度もご案内し、かつ、今回もお奨めしているのです。
私も、全国各地で、ブルーカーボンを創生したい事業者を探しているところですが、やはり、まだまだコストがかかるのが現実。そこで、BVCMで自社のブランドを高めつつ、将来の中和を見越して、是非とも「環境先進企業」を目指す皆さんに取り組んで頂きたいと思っています。
今まさに「見えにくい価値」から「見える価値」へ進化を遂げようとしているスキームです。
お声かけ頂ければ、どこへでも参ります。
一緒に、ブルーカーボンを盛り上げていきましょう。
ということで、8回に亘ってお届けしてきた「カーボンプライシングとGX戦略」いかがだったでしょうか。
やらない理由はありません。
「いつ」やるか?
もう、答えは決まっていますよね。
皆様のやる気、全力で応援しますよ〜
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