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省エネ法改正での注意点

昨日、省エネ法が改正されるに当たってのポイントをお話ししました。

これについて、注意しておきたい点を補足しておこうと思います。

とにかく、データの整理方法は、変更しない方がよいです。
報告の方法が変われども、使用する活動量は変わりません。
料理の仕方、レシピが変わるだけです。

そもそも、収集の所から変えることはないでしょうから、報告担当部署における、データの持ち方、整理の仕方だけの話でしょう。

省エネ法の報告だけを行っているのであれば別ですが、CDP回答及びSBTiの年次更新、環境報告書や統合報告書、ウェブサイトでの報告などなど。
これまでの、非財務情報の公開の方法は変わらないので、基本フローは変更しない方がよいですね。

他方、取り組み方は、法目的を捉まえて、変更しても良いと思います。
つまり、「非化石エネルギー使用割合の向上」を別のKPIと捉えることです。

経産省ウェブサイトより

法改正は、2つの転換を目的に行われます。
1.需要構造の転換
2.供給構造の転換

一般の事業者にとって重要なのは、「1.需要構造の転換」でしょう。
もちろん、既に再エネの導入は積極的に取り組まれていると思います。
ですが、法改正は、転換が進んでいる「非化石エネルギー」においても、「使用の合理化」を求めているのが特長です。

再エネ100電力メニューは単価が高いので、削減努力はされると思いますが、太陽光などの自家発自家消費電力だと「デマンド制御なんてどこ吹く風」みたいに、節電意識がない場合もあるのではないでしょうか。

ですが、その場合でも「非化石電気」としてカウントされるので、少し注意が必要です。原油換算使用量としては、増えてしまいますから。

工場等判断基準ワーキンググループ 資料4より

ただ、「化石エネルギー→非化石エネルギー」という需要構造の転換を目的としていることから、非化石エネルギー使用割合を向上させる定量的な目標を設定し、その達成を求めるものとしています。

工場等判断基準ワーキンググループ 資料4より

計算方法を見てみると、熱や燃料の非化石比率算出において、非化石証書やJ-クレジットの活用も含まれてます。ということは、削減系のクレジットも使って良いということだと思います。

今までは「共同省エネ事業」として報告できるのみでしたので、再エネ系以外はあまり魅力がありませんでした。RE100に使用できないということで、再エネ系との価格が二極化していたというのは、既に報告済です。

一方、温対法の報告では、「調整後温室効果ガス排出量」として、購入したクレジット分を差し引いて報告できていました。

第Ⅱ編温室効果ガス排出量の算定方法
第Ⅲ編温室効果ガス排出量の報告方法

ここで、ようやく初めて両者で利用できることとなれば、少しばかりは、価格差も縮まるのではないでしょうか。

個人的には、再エネ系以外のうち、吸収系(旧J-VER)の利用が進めば良いなぁと思っています。

とはいえ、価格は削減系が圧倒的に安い。なので、

1.自社の環境配慮姿勢をPR→吸収系クレジット
2.非化石エネルギー使用割合向上→削減系クレジット

という目的で、両者を購入してみてはいかがでしょうか。

下世話な話で恐縮ですが、吸収系では自治体との良好な関係を築けます。
訪問し易くなるでしょうし、入札時の加点ポイントになるかもしれません。
私は、販売のお手伝いをすることで、担当部署から別の仕事を依頼されたりもしました。

クレジット推進の立場からは、省エネ法改正を端緒として、「非化石エネルギー使用割合向上」を目指す企業が増え、ひいてはオフセットクレジットの市場活性化につながって欲しいと、期待しています。

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