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改正省エネ法が施行されます

23年4月1日から、改正省エネ法が施行されます。

算定を行っている方は、省エネ法・温対法の報告も担当されている場合が多いでしょうから、ポイントを少しお伝えしておこうと思います。

まず、「再エネ電気もゼロカウントでなくなる」というのがデカイですね。

改正により、エネルギーの定義が見直されるからです。

工場等判断基準ワーキンググループ 資料4より

旧:燃料並びに熱及び電気
新:化石燃料及び非化石燃料並びに熱及び電気

現行省エネ法は「化石エネルギーの使用を合理化・効率化する」ことが目的であったところ、非化石エネルギーの使用も合理化することで、2050年カーボンニュートラルの実現だけでなく、エネルギーの安定供給の確保や経済性の向上も同時に達成することも狙って、見直されるものです。

これにより、非化石熱及び非化石電気も、省エネ法における報告対象と相成るわけです。

計算方法としては、こうなるようです。

工場等判断基準ワーキンググループ 資料4より

今までは、「自家用太陽光発電電気」のエネルギー使用量が「0」でした。
それが、このように、「1000kWh」とカウントされています。

自家発太陽光の換算係数は、3.6MJ/kWhとなるようです。当然ですよね。
1[J/s]=1[W]→1[J]=1[W・s]→1[J]=1[W・(1/3600)h]なので
3600[J]=1[Wh]→3600[kJ]=1[kWh]となります。

さて、非化石エネルギーを使用する場合、効率が落ちる場合が多いです。
また、そもそも、非化石エネルギーは化石エネルギーと比較してエネルギー密度が小さいのが一般的です。(だから、使われていなかったと言えますが)

ですので、化石エネルギー同等のエネルギーを得ようとすると、余計に投入する必要がでてきます。そうすると、化石・非化石区別せず、全て原油換算するのであれば、投入量が少なくて済む、化石エネルギーを選択するインセンティブが働くのではないか?

「化石エネルギー→非化石エネルギー」を目的とした法改正に逆行しかねないことを防ごうというのが、上の図の[1]というわけです。

効率低下分の補正係数(例えば、20%低下するのであれば、α=0.8)をかけることにより、原油換算使用量が減るから、積極的に使用するでしょうと。

また、非化石電気への誘導案が[2]

こちらは、補正係数α(>1)を乗じてやることで、非化石エネルギー量を増やしてやろうという施策。これも、[3]で示す、法目的「非化石エネルギー使用割合」の増加を企図しています。

ワーキンググループでは、非化石電気をこのように評価しています。

工場等判断基準ワーキンググループ 資料4より

つまり、「証書以外の自家発非化石電気推し」のようです。
非化石市場の活性化を図ろうとしている環境省の意図は入ってないのか?
まぁ、ここはエネ庁ですからねぇ。

事務局は、αは「総合的に踏まえて」1.2〜1.5程度が妥当と提案しています。
まぁ、FITの例もありますが、政策は往々にして失敗するもの。

気になって委員の顔ぶれを見たところ、期待できそうな、できなさそうな。

委員の方々は、環境系と産業系、押しがめちゃくちゃ強い人とそうで無い人。オブザーバーも、消費者側から産業側。その数もこれまた多い。
声の大きい人の意見が通るのかなぁ。いろんな意味で目が離せない。

施行が令和5年4月ですので、対象となるのは令和6年の報告から。
これから時間をかけて議論が進み、詳細が明らかになっていくでしょう。
引き続きウォッチしていきますので、都度報告していきますね。


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