Jブルークレジットのスゝメ(5)
Jブルークレジットの申請説明シリーズ5回目。
4回目は、Jブルークレジットの対象となるプロジェクト要件の内、「1.プロジェクトの属性」について説明を行ったところでした。
今回は「2.プロジェクトの内容」について説明を行っていきます。
認証申請の手引には、対象プロジェクトの種類として、自然基盤のものと人口基盤のものがあると整理されています。
世界的に見ると、圧倒的に多いのは「マングローブ」です。
それも、10,000ha以上の大規模なプロジェクトばかりです。
なので、熱帯から亜熱帯の地域でしか実施されています。
他方、日本で「ブルーカーボン」といえば、海藻・海草です。
日本は世界の趨勢に反しているのです。
だからこその強みがあります。
まず、ワカメやコンブなどが含まれていることからも分かるように、プロジェクト実施場所は低緯度地域に限られません。広く世界的に実施可能です。
また、養殖による方法論は、十分に確立されていません。
ですので、日本で知見を蓄積し、標準となる方法論を確立できます。
ルールメイキングの立場に立つことの優位性は、皆さんご存知でしょう。
話がそれましたが、プロジェクト種類の要件としては、「人間の関与」があることが大前提です。「自然のままだったらダメよ」ということ。そうですよね、何もしなくて申請書を提出するだけでクレジットがもらえたら、苦労しません。
その上で、自然基盤であれば、生態系の「創出」「回復」「維持」「劣化抑制」が認められた場合に、Jブルークレジットとして認証を受けることができます。
周囲の波や海流を抑制したり、食害被害を防止したりといった活動による藻場の再生が各地で行われていますが、そのような活動が当てはまります。
人工基盤であれば、「ブルーカーボンを創生するためだけ」に設置されたもので無いことが必須。簡単に言うと、例えば、藻を着床させて育成させるためだけに、テトラポットなどを設置してもダメですよということです。
消波目的で設置した特殊なテトラポットに、藻場が形成されれば、本来の機能以外に「気候変動緩和策」となっているのでOKとなります。
海藻の胞子が着床しやすい形状のセラミック構造体を、その目的だけに海中に設置しても、Jブルークレジットは見込めません。上記の条件に当てはまらないからですが、そもそも、セラミックの製造・運搬において、CO2を排出していますよね。なので、NETで吸収とはならないから、当然なのです。
人工基盤でも養殖だとどうかというと、順調に生長するように、手間暇をかけますよね。そのような「養殖事業」そのものが、海域における気候変動対策になっているので、プロジェクトとして適格と判断されます。
その他、具体例が、認証申請の手引にありますので、ご参照ください。
ということで、「ブルーカーボントは何ぞや?」から始まって、「ベースライン&クレジット」というクレジットが創生されるスキーム、そして、Jブルークレジットを創生できるプロジェクトの要件まで、説明してきました。
次回からは、調査・算定の手順についてご案内していきます。
まだまだ続きますが、お付き合いください。
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