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Jブルークレジットのスゝメ(4)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ4回目。

3回目からは申請の具体的なステップに入っています。

さて、「どんなプロジェクトが対象になるのか」を判断する際には、次の2つのポイントがあるのでした。

1.プロジェクトの属性
2.プロジェクトの内容

そして「1.プロジェクトの属性」には「追加性」と「ベースライン」という要件がある、3回目では「追加性」までご案内しました。

なので、今回は「ベースライン」の説明から入っていきましょう。

「ベースライン」もクレジットでは頻出ワード。
クレジットが生まれる基本が「ベースライン&クレジット」なのですから。

政府が昨年まとめた「カーボン・クレジット・レポート」によると、「カーボン・クレジット」についてこう説明しています。

ボイラーの更新や太陽光発電設備の導入、森林管理等のプロジェクトを対象に、そのプロジェクトが実施されなかった場合の排出量及び炭素吸収・炭素除去量の見通し(ベースライン排出量等)と実際の排出量等 (プロジェクト排出量等)の差分について、MRV(測定・報告・検証)を経て、国や企業等の間で 取引できるよう認証したものを指す。

つまり、「プロジェクト無かりせば」の時の排出量が「ベースライン」であり、それから、プロジェクトが実施されたときの実際の排出量(プロジェクト排出量)を差し引いたものが「カーボン・クレジット」となります。

カーボン・クレジット・レポートより

ですので、ベースラインが存在することが、Jブルークレジットの対象プロジェクトとなる要件になるのです。認証の手引では、このように説明されています。

自主的な活動の結果、 吸収量が増加したこと が、 プロジェクトの実施前後の比較 (Before-After)、かつプロジェクト実施場所と実施していない場所との比較(Control-Impact) の両側面から示されること

Jブルークレジット®認証申請の手引 Ver.2.2.1より

実は、これが意外とハードルになったりします。

例えば、藻場の再生でJブルークレジットを生み出そうとした場合、プロジェクトが実施されなかった場合の藻の成長量がベースラインとなりますが、申請しようとした際に、既にプロジェクトに着手していれば、何らかの形で算定しなければなりません。

着手時に空中写真を撮影していれば推定することができますが、再生しようとしている藻の最盛期のものでなければ、正確に推定することができません。

プロジェクトを実施していない藻場で、最盛期に実施すれば問題ないと思われますが、同じ海域でも、海流等の影響で必ずしも同じとは限らなかったりします。なので、最悪、クレジットの認証が1年遅れる可能性もあります。

まぁ、認証時期が遅れるくらいであれば良いのですが、私がマングローブの再生でJブルークレジットを生み出そうとした際には、結局断念しました。

その現場では、ツアーガイドのボートがマングローブから一定距離離れた水域を航行することにより、航行で発生する引き波の発生を抑制、育成を阻害しないことでブルーカーボンを創出することを目指していました。

しかしながら、その場合の「ベースライン」は、マングローブ近傍を航行した場合のマングローブの成長量となるところ、そのようなサイトを設定することができなかったのです。

全てのツアーガイドに対し、特定の流域のみ近傍を航行してもらうことなど、非現実的。マングローブは汽水域に棲息しているので、川の右岸と左岸で出来るかもと考えましたが、それでは、条件が違いすぎるとの指摘。

併せて、引き波抑制による成長促進効果もわずかで、そもそも、空中写真による測定も困難だったことから、断念せざるを得なかったという次第です。

でも、ご安心ください。

現在国内で実施されているプロジェクトは、藻場の再生や養殖によるものがほとんどであり、ベースラインが特定できないために実施できなかった例はありません。
計画的に取り組めば、報われるのが、Jブルークレジット制度です。

ということで、「1.プロジェクトの属性」まで説明いたしましたが、ご理解頂けましたでしょうか。

それでは、次回は、Jブルークレジットの申請対象となるための「2.プロジェクトの内容」の要件について、ご案内していきます。

今しばらくお待ちくださいませ。

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