開示ルールの進む道〜interoperability
4月1日、GRIスタンダードを設定する独立機関であるGSSB(Global Sustainability Standard Board)の議長に就任した、キャロル・アダムス氏がコメントを発表しています。GSSBより就任を伝えるメールが届きましたので、その内容をお伝えします。
キャロル・アダムスは、オーストラリア公認会計士協会のサステナビリティ報告に関するアドバイザーや、同国会計基準審議会のサステナビリティ報告諮問委員会の委員を務めるなど、サステナビリティ報告に関して国際的に有名な研究者ということです。
ちなみに、GRIスタンダードは、サスティナビリティレポートの作成においては、グローバルスタンダードと言って良いと思います。
実に、世界の大手企業250社の78%を含む100カ国以上、11,000以上の組織で毎年利用されています。2022年のGRIスタンダードのユーザーによるダウンロード回数は約100万回で、前年比45%増となっています。
そんなGSSBの議長のコメントです。注目せざるを得ません。
ということで、早速内容を見てみると、とても期待できる内容が満載です。
「interoperability」といのは、「相互に運用可能な」という意味です。IFRSとSASBが「interoperable」なものとするよう検討を続けていますが、これに、GRIも入ってくるということ。
加えて、EFRAGがドラフトを公開しているESRSの開発にも協力しており、ESRSはGRIの開示ルールと一致していると確認しているとしています。まさしく「お墨付き」がある訳で、何とも頼もしい。
ESRSについては、こちらを参照ください。
CSRDが導入される欧州では、その開示基準であるESRSを満たすために、既存のGRIレポートを利用できるということ。NFRDがボランタリーであったところ、その後継であるCSRDは義務。欧州企業が受ける恩恵はとても大きいでしょう。
続いて、GSSBとして、「報告する負担を最小化する」ことが「任務」と認識している、としています。素晴らしい矜恃。
ISOは、各国に認定機関があり、その認定機関はIAFというアライアンスを組んでいて、相互認証していく形態をとっていますが、まさしく、それと同様のような形を目指しているように思います。
つまり、どれか一つのルールに則って開示すれば、他のルールも満たしているとみなされる関係。世界統一ルールを作るよりも、現実解に近いように思います。
「interoperability」これからますます注目ですね。
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