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6条交渉の進捗状況

COPで気になる気になる〜はカーボン・クレジット。
開幕時にも、ご案内しておりました。

第2週は、大臣レベルが終結して交渉テキストを作成する段階に入ります。ですので、第1週最終日に予定されている補助機関会合の閉会プレナリーまでに、各項目の審議を終わらせる必要がありました。

その内容はもちろんクレジットだけでなく、緑の気候基金(GCF)や地球環境ファシリティ(GEF)、気候変動の悪影響に伴う損失損害資金制度(ロスダメ)などもあります。いやぁ、各国の交渉官の皆様大変ですねぇ。

その交渉の全体はとても追いかけられないので、クレジット分だけを判明した範囲でご報告しておこうと思います。


まずは、6条4項の「CDMからパリ協定6条4項への移行手続き」について。
共同進行役が提出した文書草案について審議が行われ、2つのパラグラフについてコメントがついたとのこと。

1点目は「永久保有口座に保有する認証排出削減量(CERs:CDMによって創生されたクレジット)のみを、6条4項クレジットのレジストリに移転可能」と規定するパラグラフで、途上国グループから「保留口座のCERsも移転資格を有するべきだ」との指摘を受け、結局パラグラフ自体削除となりました。

2点目は「CERの移転には、CERホスト国の承認を必要とする」と規定するパラグラフで、「ホスト国は承認すべきか、それとも通告すべきか」「どこの組織がこの役割を担うべきか」「CERの利用も承認すべきか」等々を議論。

共同進行役が、「承認当局を明記すること」「CERのNDCsへの適用を明記すること」を追加することを提案して、決着を見た模様。

6条4項はもう1点「6条4項メカニズムのレジストリ、規則、モダリティ(様式)、手順」について。

各締約国が、モダリティや移行手順、情報機能、6条4項と6条2項の相互運用性について提案を行ったところ、少数のグループ及び締約国が、4項と2項のレジストリの役割及び機能に相違が見られることから、6条2項での議論と協調を図るべきという意見がでたとのこと。

確かに、同じ「市場メカニズム」なのだから、極力共通にすべきという意見は、ごもっとも。6条2項の議論の結果を待って、調整した方がよいと思うところ、果たしてその方向で落ち着いたそうです。加えて、認可されていないユニットの扱いや利用、及びそのための手順も意見交換した由。

世界の排出量の全体的緩和(OMGE)についても議論があったようですが、新しい論点で、私自身いまいち理解できていないので説明できないです。最終交渉テキストが出たら、詳しく読んで勉強します。


6条2項は「協力的手法に関するガイダンス」について議論。

共同進行役が、括弧書き付のCMA決定書草案を提示したものの、多数の締約国から、検討する時間が無かったとの指摘を受けて、非公式な場での協議が進められたようです。まぁ、括弧書きは妥協の産物なので、事務方の協議で潰し込んでおくのが○です。

6条はもう1項、重要なものがあります。6条8項です。
この条項は「非市場アプローチ」を規定するものです。

これについては、コンタクトグループ会合で、共同議長のサウジアラビアとニュージーランドが、作業プログラム活動の実施スケジュールに関するSBSTA結論書草案、及び括弧書きのCMA決定書草案決定書を含む、新しい文書草案を提示。

共同議長によると、その草案には、締約国のコメントに基づく意見集約の可能性を反映させたそうですが、有志途上国グループ(LMDCs)のボリビアから、同グループの提案書が考慮されていないとのクレームあり。一悶着あった模様。決着を見たようですが、COPあるあるです。


とまぁ、無味乾燥な報告となりまして、誠に申し訳ありません。
交渉とは、各国の主張のぶつかり合いなので、こんなものです。
もっと分かりやすく説明できればよいのですが、私の力不足です。
全体像が見えてきた段階で、まとめてご案内できればと思います。

COP期間中は、プレナリーとは別に、毎日テーマが設定されていて、それぞれのテーマに従ったサイドイベントが開催されています。第2週目は、14日が「Water Day」、15日が「Energy Day」、16日が「Biodiversity Day」と、注目のテーマが続きます。

こちらでも、興味深い発表がありましたら、ご案内しますね。



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