米国から目が離せない?!
4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。
実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。
もしご覧になっておられないようでしたら、是非。
これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Foresight」が、いかに重要かを再確認した出来事でもありました。
noteで紹介していますが、「ICVCM」の「CCP」と「VCMI」の「CoP」がファイナライズされたこと、さらに、VCMIがクレジットの利用を限定的に認める「Scope 3 Flexibility Claim」を公表したことで、クレジット利用を緩和する環境が整ったとSBTiが考えたとしても、おかしくないと思っています。
まぁ、SBTiの体制が大幅に変更されたことが、より直接的な要因かと穿った見方もできますが、敢えて言及しません(笑)
このようなサステナ界隈に、これまでクレジットやサス情報開示について、欧州とは距離を置いていた米国から、新たな実弾が飛んできました。
残念ながら、購読者しかアクセスできないのですが、タイトルにあるように「米商品先物取引委員会(CFTC)は今後6カ月以内に炭素クレジットに関する指針をまとめる予定」というものです。
「指針をまとめる」ということは「使う」ことが前提。
おぉ、ということは、USはクレジットの利用を推進する立場になるのか。
自社の排出量をクレジットで控除できるようになるのか。
こう思ったかどうかは甚だ不明ですが、SBTiの時のように、これまたサステナ業界で、にわかに話題になりつつあるようです。
ですが、ヘッドラインに踊らされずに記事を読み進めると、必ずしもそうではないことが分かります。
もちろん、クレジットを原資産とする先物やその他のデリバティブ商品を拡充させたいというマーケットの思惑はありますが、そのためには「クレジット」が上場基準を満足する必要があるところ、基準自体が存在しない。だから、「指針」の作成と「規制の強化」が必要だ、という論旨なのです。
記事には、CTFCのクリスティ・ゴールドスミス・ロメオ委員のコメントが紹介されています。
ここで、不安になる方がいらっしゃるかもしれません。
「指針って言ったって、CCPがあるじゃないか」
確かに、この文脈は、目的がマーケットでの取引にフォーカスされているとはいえ「高品質なクレジット(High integrity credits)」を定義するものに他なりません。ですが、ご安心ください。
アルファベット・スープ化に逆戻りするのでは無さそうですね。
ロメロ氏は、ウォッシュ批判に晒されているクレジット業界全体が、一方的に「詐欺的」と決めつけているということではなく、悪徳な事業者を排除できれば、逆に、マーケットに対する信頼と信用を高めることができると認識しているようで、期待できそうです。
ということで、米国の規制当局の動きを紹介しましたが、時を併せて、米国政府から、それを上回るニュースが飛び込んできました。
それは「自主的炭素市場(VCMs)への責任ある参加のための新しい原則」が発表されたのです。
これを受けて、ICVCMやVerraも、すかさず「Welcome」
「対話はしっかり行ってますよ」ていうところですね。
2030年が刻々と近づく中、各国・地域、イニシアティブ、NGO/NPOが、現実的なソリューションを模索始めたように思えます。
朝令暮改のサス界隈ですが、できる限りキャッチアップしていきます。
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