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サウジアラビアを視察してきます

4月18日から1週間の日程で、サウジアラビアを視察してきます。

サウジアラビア政府は、主要な3つの都市にそれぞれ特別な地位と役割を与え、国家の発展に寄与させる戦略的な位置づけをしています。

リヤド - 政治の首都
サウジアラビアの首都であり、政府機関や王室の拠点が集まる政治的中心地
ジェッダ - 商業の首都
港湾都市であり、サウジアラビアの主要な経済・商業の中心地
アルウラ - 観光の首都
歴史的な遺跡が数多く残る地域で、文化遺産観光の中心地と位置づけられており、政府は、アルウラを中東有数の観光地に育てることを目指している

公式資料より著者まとめ

今回はこの3都市と、イスラム教の聖地、メディナを訪問する予定です。

この中で、皆さんに一番馴染みが薄いのが、アルウラではないでしょうか。

サウジアラビアには、現在世界遺産が5つありますが、その中で最初にUNESCO世界遺産に登録されたのが、マダイン・サーレ(Madain Saleh)。この遺跡は紀元前1世紀から紀元後1世紀にかけて栄えた古代ナバテア王国の重要な商業拠点でした。

この史跡への玄関口となる都市が、アルウラなのです。 

サウジアラビアが本格的に観光客の受け入れを開始したのは、2018年。
前回訪れたのは2010年ですから、当然ビザの発給はなく、大使館からのインビテーションで入国しました。

そんな状態ですから、サイトに入る許可は1日に2組(グループ)限定。
間違い無く、最初に訪問した日本人です(笑)

今回訪問する目的は、サウジアラビアのムハンマド皇太子が、2016年4月、同国の経済および社会改革に関する包括的なプログラム「ビジョン2030」を発表したことなどを受けて、ドラスティックな変遷を遂げ、さらに変わりつつある現状を、自分の目で確認することです。

昨年のCOP28はドバイで開催され、議長がアブダビ国営石油会社(ADNOC)最高経営責任者(CEO)ジャーベル氏だったことから、様々な波紋を呼んだことは皆さんもご承知のところでしょう。

ですが、UAEを始め、サウジアラビアやカタールなどの産油国は、「座礁資産化」が懸念される中、収益が得られている間に、いち早く自国の脱炭素化を協力に推進する施策をとっています。

売り物には手を付けない

サウジアラビアは「ビジョン2030」の下、「Green Initiative」を策定。

5つの目標を掲げ、具体的な施策も決定しているようです。

1.GHG排出量削減
2030年までに年間2億7,800万tCO2eの排出量削減を目指す。
2060年までにネットゼロ達成というさらに広範な努力の一環。

2.再生可能エネルギープロジェクト
2030年までに国内使用量50%を再エネ化。2022年までには多くの容量が既に電力網に接続済み。また、スダイルソーラーPV PJやドゥマト・アル・ジャンダル風力PJなどの大規模プロジェクトが開発中。2030年までに国内需要電力の50%を再生可能エネルギーから供給することを目標。

3.グリーン水素
クリーン水素の生産と輸出のリーダーとして位置づけるため、NEOM PJを2026年までに稼働させる計画。年間25万トンのグリーン水素を生産する、世界最大級の施設になる予定。

4.植林と土地の再生
10億本の樹木を植え、4000万ヘクタールの土地を再生するという環境目標。既に数百万本の樹木が植樹済み。

5.サーキュラーエコノミー推進
CO2削減、再利用、リサイクル、除去に焦点を当てた戦略を策定済み。

公式資料より著者まとめ

中国の共産党一党支配と同じように、サウジアラビアも「王国」ですので、計画は予定ではなく確定した未来。決定し動き出せば、あっという間に具現化することでしょう。

とはいえ、NEOMプロジェクトの一つ「THE LINE」はあまりに壮大すぎて、とても実現しないだろうと思ってますが…

何と言っても、幅200m、高さ500m、長さ170kmの薄っぺらい人工構造物を、紅海沿岸に建築するというもの。100%再エネで稼働し、廃棄物はゼロ。もちろん、道路や車もありません。

ただ、砂漠のど真ん中にこのような「900万人」の人工コロニーのようなものを作って「環境にやさしい」とは、むなしく感じてしまいます。

ところで、産油国は、商品には手を付けず、自国は脱炭素化を進めているとご案内しましたが、お隣UAEの「マスダール計画」も有名です。

こちらは、2008年に建設開始。2016年完成予定だったところ、経済危機の影響などで遅れが生じ、現在も建設が続いていますが、最終的に40,000人が居住する街の建設を目指しています。

2022年時点では、約6,000人が既に居住しており、大学、研究施設、商業施設などが稼働中。友人がコロナ前に訪問していますが、「自分の目で見るべき」と推奨されましたので、是非にと思っています。

マスダールシティは当初の計画から遅れているものの、着実に進捗しており、環境配慮型の未来都市モデルとして注目されている最中なのでしょう。

ということで、NEOMはまだまだ青図段階で建築物は皆無の状態のため「視察」は叶いませんが、2010年と比較した国の有り様の変化、サウジアラビアの提案する「将来のあるべき姿」を、目に焼き付けてきたいと思います。

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