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算定実務者必須データ&レポート

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算定は、データ収集及びレポートの通読が全て。一次データから二次データ。レギュラーもあればイレギュラーもある。忘れそうなそんな時、このマガジンがお役に立ちます。お役立ちサイトも紹介…
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#排出量

カーボン・クレジットの種類について

カーボン・クレジットについて説明する際は、無難で安心できる出典として、経産省の「カーボン・クレジット・レポート」を参照しています。 レポートによると、カーボン・クレジットは、次のように分類されるとあります。(本文は文章ばかりで分かりにくいので、概要を使って説明します) このように、「排出回避/削減」クレジットと「固定吸収/貯留」クレジットと、大きく2つに分かれます。前者は「削減回避系」、後者は「吸収除去系」とも呼ばれており、今後はこちらで表現しますので、ご承知おき下さい。

農業にも算定が求めれられる日が?

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 このうち、農業セクターのGHG排出量は2.8% 分野別だと、エネルギー分野が86.8%で圧倒的なので、このセクターの排出削減が必要であることは、論を俟たないところでしょう。 しかし、メタンの排出に着目すると、違った世界があります。 稲作からの排出が44%と最も多く、家畜の消化管内発酵に伴う排出が28%、家畜排せつ物管理に伴う排出が9%と、農業に関わる排出量が圧倒的なのです。 N2Oを見ても、農用地の土壌

JIS Q14064-1 どう変わったの?(その2)

GHGに関するJISの「ファミリー規格」 その中で、算定に関わる3つの規格「JIS Q14064-1」「JIS Q14064-2」「JIS Q14064-3」が、ISO規格の改訂を受けて「ようやく」改訂されました。 前回から、企業のサスティナビリティ担当として算定に携わっている方を前提に、「JIS Q14064−1(組織の排出量)」の変更点を説明しています。 殆ど影響が無いと思われるところ、1ヵ所だけ懸念されるところがありますので、紹介しておこうと思います。それは、次の項

世界銀行のCPレポート 斜め読み(2)

世界銀行(世銀)が毎年リリースしている、「カーボン・プライシング・レポート」の2024年版が公開されたので、その内容を簡単にご紹介。 1回目は、導入で終わってしまいましたので、今回は、内容を具体的に説明していきたいと思います。 まずは、導入されている国・地域についてみてみましょう。 ICAPのレポートと同様、マップで示されていると分かりやすいですね。 世界では、75の炭素税及び排出権取引(ETS)が実運用されており、過去12ヶ月で2国・地域増加しています。この地図を見て

地球のバイタルサインが示すもの

年末の一大イベント、第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)が終了、報告会も12月から1月にかけて実施されたこともあり、皆さんもそれぞれの立場から評価をされたのではないでしょうか。 私も、できるだけ中立な立場で、様々な意見に聞き耳を持って聞いておりましたが、特に印象に残ったのが、2009年から18年末まで、英ユニリーバのCEO務めたポール・ポルマン氏が、ESGで企業価値を高める秘訣についてのインタビューで述べた言葉でした。 ポルマン氏は、就任後、「サスティナビリテ

食物の排出量に関わるエトセトラ

毎年4月に公開されている「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第4条1及び第12条1に基づいて、附属書I締約国(いわゆる先進国、もちろん、日本も含まれます)は、毎年自国の温室効果ガスインベントリを作成し、4月15日までに条約事務局へ提出することが義務付けられています。 日本も毎年作成し、推計・公表するとともに、排出・吸収量データ及び関連情報を含む温室効果ガスインベントリを条約事務局に提出しています。 つまり、これが、日本の対外的

排出量算定従事者マストデータ〜その4

「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」をテーマに4回目。 1〜3はこちら 1次データが得にくいのはスコープ3の各カテゴリー共通の課題ですが、その中でも、廃棄物は入手困難。だからこそ、切り込んでいきたい。 そのために、IPCCガイドラインに沿って日本のインベントリを算定している報告書で勉強している最中でした。 算定は、5つのカテゴリーに分けて行われていました。 A.固形廃棄物の処分 B.固形廃棄物の生物処理 C.廃棄物の焼却と野焼き D.排水の処理と放出 E.その他

排出量算定従事者マストデータ〜その3

「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」をテーマに3回目 廃棄物分野からの排出量を減らしたい!という気持ちをお伝えしました。 そのためには、1次データを捉え、自社の排出係数を算出することが必要。 こちらの報告書は、IPCCにより作成 された「国家温室効果ガスインベントリのための 2006 年 IPCC ガイドライン」に基づいて算定されており、報告書には算定の過程が記載されています。 といっても、日本大で集計されている公式の統計値を用いた「推計」ですので、自社の算定には当て

排出量算定従事者マストデータ〜その2

排出量の算定に関わる人にとって抑えておきたいデータとして、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」をご案内しています。 日本における排出量を分野別に見ると、このようになっていました。 皆さんもお察しの通り、エネルギー分野が圧倒的です。 総排出量の、実に86.5%を占めています。 今回は、その中身を見ていきたいと思います。 再生可能エネルギーの導入が進んでいるとはいえ、やはり、屋台骨を支えるのは依然として、化石エネルギーです。 2011年の震災後一時上昇し、穏やかに減少

IATA、二酸化炭素排出量計算ツール「IATA CO2 Connect」

国際航空運送協会(IATA)が、カタール・ドーハで開催中のIATA年次総会で、二酸化炭素排出量の計算ツール「IATA CO2 Connect」を発表しました。 エアライン20社と主要な機体メーカーが、国際標準化団体やロジスティクス企業と協議の上で考案したものですが、何と言っても、驚くべきは、エアライン毎に異なる座席のコフィグレーション及び客室クラスに応じた係数が設定されていることです。 特定のフライトにおける乗客1人当たりのCO2排出量を定量化するための、業界で最も正確に

SBTi参加企業数アップデート

前回報告時(2022年4月23日)から早くも2ヵ月経ってしまいました。 Net-Zeroをコミットする日本企業も、ようやく現れ38社。 味の素、アシックス、アスクル、富士通、JAL、花王、キリン、NEC、NGK、ニコン、日産、野村総研、NTTデータ、リコー、セコム、積水ハウス、住友林業、サントリー、武田製薬などなど。 およそ、環境先進企業と目されている企業が並んでいます。 が、まだ、認証には至っていないもよう。 これは、多分にSBTi側の要因があると思われます。 とい

排出量算定従事者マストデータ〜その1

日本の温室効果ガス排出量を見る上で重要なデータとして、以前、環境省と経産省が発表するデータをご紹介しました。 ですが、もう1つ忘れていました。それも、「日本」として重要な報告書を。それが、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」です。 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第4条1及び第12条1に基づいて、附属書I締約国(いわゆる先進国、もちろん、日本も含まれます)は、毎年自国の温室効果ガスインベントリを作成し、4月15日までに条約事務局へ提出することが義務付けられていま

SBTi参加企業数 新たなフェーズへ

5/12に、SBTiが年次レポートをリリースしました。 参加企業数 2,253社 認定企業数 1,082社 (2021年12月31日現在) レポートでは「指数関数的増加フェーズに入った」としています。 これを見ると、一目瞭然ですね。 20年から21年への伸びは2倍、世界経済の時価総額の1/3を占めるとのこと。 その流れは留まるところを知らず。 これが、2022年5月19日現在では、こうなっています。 まだ半年も経っていませんが、21年末と比較して、 参加企業数 3