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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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#JPX

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2021年11月より非化石価値取引市場の改革が行われ、次の2つの市場に分割されたことは、ご存知の方も多いでしょう。 再エネ価値取引市場は、FIT証書を取り扱牛場で、購入した証書分だけ、自社の排出量から控除することができます。環境省が発表する「電気事業者別排出係数」の「調整後排出係数」を算定する目的で使用されるので、元来需要が高い市場です。 改革前は、電気事業者しか購入できていなかったところ、「再エネ価値取引市場」では、需要家や仲介事業者も入札に参加して購入できるようになっ

非化石価値取引結果 23年度第2回

23年度初回となる非化石価値取引市場の取引結果が、11月30日までに全て出揃いました。(約定日は、非FIT(再エネ指定無し)、非FIT(再エネ指定)、FITがそれぞれ、28日、29日、30日) 約定量を見ると、FITが安定した伸びを記録したのに対し、前回ダントツに伸びた非FIT(再エネ指定なし)が激減、-99.998%。買い手が喪失しています。 落札率で見てみましょう。 こちらは、約定量/売入札量ですが、非FIT(再エネ指定なし)は、ほぼゼロ。ほとんど売れ残っているので

Voluntaryでも構わない〜結果を出そう

これまで、日本のカーボン・クレジットやETSについては、何度となくお届けしてきました。で、必ずしも、ポジティブな内容でなかったことも事実。 ですが、先日参加したGXスタジオで事務局をされている野村総研の方々や、参画企業及び経産省の方々と意見交換する中で、少し期待値が上がりました。ぎゃくに、「やるじゃないか」とさえ思えてきました。 というのも、これまで、「完全を期す」からこそ、数多の失敗を繰り返してきた体と思います。責任を追及されないように、完成レベルのものを目指すからこそ

JPXのカーボン・クレジット市場始動

10月11日、JPXがカーボン・クレジット市場を開設、売買が始まりました。 9月22日に開設日が決定して以来、徐々に注目が集まっていましたね。 JPXでは同日式典が開かれ、出席した西村康稔経済産業相が「カーボン・クレジットの活用は、社会全体の効率的な排出削減を実現しながら民間企業のGX(グリーントランスフォーメーション)投資を引き出していく効果を持つ取り組みだ」と話したことも、各メディアで伝えられていました。 ここまでメディアで採り上げられたことに正直驚いていますが、まぁ

カーボン・クレジットマーケット元年

先月末、JPXが「カーボン・クレジット市場」の開設日を発表しました。 メディアが一斉に伝えましたので、皆さんもよくご案内のことでしょう。 2022年9月から2023年4月まで実施した試行事業では、実証参加者は183者、実際に注文したのは60者、売買が成立したのは55者だったとのこと。活況とは言えない状況ではありましたが、本稼働ではどうでしょうか。 取引対象は、当面はJ-クレジットのみですが、JCMやGXリーグの超過排出枠にも対象を拡げたいとしています。また、立会外取引も想