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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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#CORSIA

クレジット動向を勝手予測

かれこれ10数年、国内のカーボン・クレジットに携わっていますが、海外のカーボン・クレジットのダイナミックさには、目を見張ります。 そもそも、国内のクレジットは「半」コンクレ(コンプライアンス・クレジット)の、J-クレジット一択。ただ、方法論が限られ、使い勝手も悪い。 今後、GXリーグから超過排出枠も生み出されるでしょうが、活況を呈する状態となるかは??? 完全なボラクレでは、例えば、フォレストック認証などもありますが、普及しているとはとても言えない状態。(応援したいです

CORSIA適格ユニットの動き

毎週届く、ACXのメルマガ。 世界のカーボン・クレジット市場動向がわかるので、重宝しています。 ACXとは、2023年1月に設立された、シンガポール拠点のカーボン・クレジット取引市場で、全ての取引がオンラインで完結する完全ウェブベース市場です。ブロックチェーンを活用して取引の透明性と信頼性を担保しており、様々な種類のクレジット取引が可能です。 加えて、UNFCCCによる承認を受けているため、CERを取引できるという利点があります。世界で2番目、アジアでは初の取引所であり、

カーボン・クレジット〜How Much?!

株価を毎日チェックする人は数多いても、カーボン・クレジット価格をチェックする人は、果たしてどれだけいるのでしょうか。 私は、EUAとCORSIA適格ユニットのチェックは日課となっています。 10月31日現在はこちら。 ①がEU-ETSで取引されるクレジット「EUA:EU allowance」 ②がCORSIAで取引できるクレジットに基づいた指標(インデックス)です。 種類が何種類もあるので、その値動きに合わせて算出されるものです。 値動きは、こんな感じになっています。

GSがCCP(プログラムレベル)評価を申請

こちらのnoteで、しつこいくらいにお届けしている「高品質なクレジット」 その共通ルールとなるべく、ICVCMが「Core Carbon Principles:CCPs」の第一弾を3月に公開、第二弾を7月に公開して「完全体」になった旨も、いち早くお届けしました。 CCP認証は次の2種類の認証がありますが、ICVCMが行う認証は「1.プログラムレベル」のみです。 「プログラム」とは、例えば、Verraの「VCS」やゴールドスタンダードの「GS」などの「カーボン・クレジット

J- クレ CORSIA再チャレンジ

J-クレジットが、22年、CORSIA適格クレジットとしての認定を申請したことは、繰り返しご案内してきました。 「CORSIAって何?」と思われる方も多いかと思いますが、そちらについても、詳しく説明しておりますので、ご参照頂ければと思います。 申請を受けたICAOは、CORSIAの技術助言機関(Technical Advisory Body: TAB)にその内容を諮り、下記スケジュールで審議が進行。 質問状に回答、調査要請に対応、インタビューもこなした上で吉報を待ちまし

CORSIA適格クレジットへの道

以前、J-クレジットとJCMがCORSIA適格クレジット(CORSIA Eligible Emissions Units)申請をしたことをお伝えしました。 CORSIAというのは、Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation(国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム)の略で、ICAO(International Civil Aviation Organization:国際民

JクレとJCMがCORSIA申請(4)

国際線を有するエアラインの参加が義務づけられる排出量取引制度、「CORSIA」で使用することができるクレジットとして、J-クレジットが承認されたら、どのようなことができるのでしょうか。 ここまで、3回にわたってご案内してきましたが、一番書きたかったこと。 それは、その活用方法です。 そもそも、カーボン・クレジットとは、目に見えない環境価値を証書化し、流通できるような形態にしたものです。売りたい人と買いたい人が存在することにより「金銭的価値」が発生し、取引が成立します。

JクレとJCMがCORSIA申請(3)

前回は、「太陽光発電設備の導入」方法論によるクレジットを、先行的に申請しようとしている旨お伝えしましたが、実際既に申請済みです。 受理後、3月25日から4月24日までパブコメを受け付けていました。 既に締め切られており、TAB(Technical Advisory Body 技術諮問組織)にて、EUC(Eligible Unit Eligibility Criteria)を踏まえた審査がなされている段階と思われます。 この後、各申請主体へ③勧告がなされ、それに対する修正・

JクレとJCMがCORSIA申請(2)

J-クレジットがCORSIAという、国際民間航空機関(ICAO) が主管する排出量取引制度で使用できるクレジットに申請した、という話をしています。 J-クレジットが申請した理由は明快。J-クレジットの活性化です。 運営委員会でも「2050年カーボンニュートラル実現に資する」として、 活性化策について、検討が続けられています。 2009年の発足当時を知る人間として、このようなPR資料を委員会が作るというのは、つくづく、時代が変わったなぁと思わざるをえません。 確かに、ぎ

JクレとJCMがCORSIA申請(1)

皆さん「CORSIA」ってご存知ですか? 1000人に聞いて、1人もいないと思います。 1 ‰以下。(パーミル:千分率、パーセントより一桁下ですね) それくらいマイナーな仕組みですが、私は非常に関心を持っています。 Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation ICAO(国際民間航空機関)が創設した国際航空における排出量取引制度です。 国際航空と国際海運は、いずれも世界の排出量の約2%