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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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2023年11月の記事一覧

Voluntaryでも構わない〜結果を出そう

これまで、日本のカーボン・クレジットやETSについては、何度となくお届けしてきました。で、必ずしも、ポジティブな内容でなかったことも事実。 ですが、先日参加したGXスタジオで事務局をされている野村総研の方々や、参画企業及び経産省の方々と意見交換する中で、少し期待値が上がりました。ぎゃくに、「やるじゃないか」とさえ思えてきました。 というのも、これまで、「完全を期す」からこそ、数多の失敗を繰り返してきた体と思います。責任を追及されないように、完成レベルのものを目指すからこそ

CBAM 移行期間は移行期間〜しっかり勉強を

今年23年10月から「移行期間(Transition period)」が開始したCBAM。 第1回目の報告義務期限が来年24年1月31日に迫る中、対象セクター及びそのサプライチェーン企業は、その対応について準備を急いでいることでしょう。 5月から7月まで実施された、移行期間のみに適用されるルールに関する、コンサルテーションが実施された際には、寄せられたフィードバックを分析しました。 このときは、EU域外からのフィードバックに限って内容を確認しましたが、メディアが騒ぐほどの

CORSIA適格ユニットの動き

毎週届く、ACXのメルマガ。 世界のカーボン・クレジット市場動向がわかるので、重宝しています。 ACXとは、2023年1月に設立された、シンガポール拠点のカーボン・クレジット取引市場で、全ての取引がオンラインで完結する完全ウェブベース市場です。ブロックチェーンを活用して取引の透明性と信頼性を担保しており、様々な種類のクレジット取引が可能です。 加えて、UNFCCCによる承認を受けているため、CERを取引できるという利点があります。世界で2番目、アジアでは初の取引所であり、

ETSとカーボン・クレジット市場は違います

このところ「カーボン・クレジット」という名称の知名度が上がり、「なんとなく知っている」という方が多くなってきたように感じています。 また、JPXがカーボン・クレジット市場を開設したために、株式と同じようにマーケットを通じて売買できるということを知った方もいるでしょう。 ですが、市場を通じて(もちろん、相対でもできますが)売買できる「カーボン・クレジット」全てが、EU-ETSを始めとする、ETS(Emission Trading Scheme)でも使用できると思っている人も

GXスタジオ参加してきました

2022年2月1日、 経済産業省 産業技術環境局より「GXリーグ基本構想」発表。2022年度は「賛同企業」によって設立の準備がなされ、2023年度より、「参画企業」によるGXリーグの活動を開始したことは、皆さんご承知のことと思います。 本格稼働した今年度、GX-ETSがその中心ではあるものの、その他3つの取組を推進し、2050年カーボン・ニュートラルを目指していくとしています。 この4つの取組の一つ、「GXスタジオ」の第3回目が開催され、ようやく参加することができました。

カーボン・クレジット〜How Much?!

株価を毎日チェックする人は数多いても、カーボン・クレジット価格をチェックする人は、果たしてどれだけいるのでしょうか。 私は、EUAとCORSIA適格ユニットのチェックは日課となっています。 10月31日現在はこちら。 ①がEU-ETSで取引されるクレジット「EUA:EU allowance」 ②がCORSIAで取引できるクレジットに基づいた指標(インデックス)です。 種類が何種類もあるので、その値動きに合わせて算出されるものです。 値動きは、こんな感じになっています。