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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで…
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2023年6月の記事一覧

駆け引きは続くよ、どこまでも〜

欧州理事会は6月20日、2030年までにEUの陸地と海域の少なくとも20%を保護・回復し、2050年までに回復が必要なすべての地域を保護・回復するという要件を含む、広範な自然回復措置の確立について合意に達したと発表しました。 この内容に「???」となった人も多いのでは? というのも、2022年12月、カナダ・モントリオールで開かれた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030年までに陸域と海域の30%以上を保

カーボンプライシングとGX戦略(6)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、6回目です。 5回目では、行動を起こす動機付けになるような、排出量削減がもたらすベネフィットについて、「マイナス→ゼロ」、つまり、リスクを回避・低減できるという側面について説明しました。 今回は、「ゼロ→プラス」側面、つまり、やった方が得をしますよ、というお話です。これについては、「見える価値」と「見えにくい価値」の両面がありますが、最初に「見えにくい価値」

インドETS、念願なるか?

排出量の多い製品の輸出入に対する措置として、EUがCBAM、USがCCAという制度を導入、綱引きの様相を呈している旨を、前回お届けしました。 EUのCBAMであれば、EU域内では排出枠を購入しなければならないので、域外で製造して輸入しようという事業者に対し、「出ていってもいいけど、輸入するときにはCBAM証書を購入する必要があるからね」というもの。 いわゆる「リーケージ」を防ぐ手段です。 代わりに、今まで「出ていかないでね。その代わり、無償で排出枠を割り当てるから」とい