マガジンのカバー画像

国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

129
毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
運営しているクリエイター

#欧州

開示ルールの整理をしておきましょう

これまでnoteで何度となく紹介してきた、非財務情報の開示ルール。 ドラフトが公開され、パブコメが実施され、フィードバックを精査してファイナライズ、最終版のリリースという各ステージで取り扱ってきましたが、複数のルールが並行して走っているのに加え、クレジットやらSBTやら、GHGプロトコルやら、他のイニシアチブもあったりで、自分自身混乱していたりします。 ということで、ここで立ち止まって、整理しておこうと思います。 まずは、先月末、大々的にリリースし、エマニュエル・ファベ

移行期間のCBAMルールを考える(5)

今年23年10月から、CBAMの報告義務が始まり、報告期間限定の実施規則のドラフト及び附属書が公開されたことを受けて、4回に亘って読み込んできました。 4回目では、「個人も対象になるんだ」というお話をしました。 今回も、第5章 無視できる価値の貨物の続きをもう少しだけ。 同章には、このような項目もあります。 そう、案の定ですが、軍事関係は対象外となっています。 まぁ、現段階で、軍事関連の排出量については、開示の枠組みが無いので、当然と言えば当然。確かに、スコープ1・2

移行期間のCBAMルールを考える(4)

今年の10月から始まる、報告義務だけが課せられるCBAMの移行期間に適用されるルールについて、CBAM規則及び実施規則・附属書を参照しながら、主に算定周りを確認してきました。 3回目はこちらです。 具体的なルールが記載された附属書は一通り読んだので、最後に、CBAM規則と実施規則に目を通していきたいと思います。 まず、気づいたのが、第2条3項。 第2条は「Scope」つまり、適用範囲を定めている条項になります。 第1項が原則。まぁ、お決まりの記載内容。 第2項は「関

移行期間のCBAMルールを考える(3)

今年23年10月から、CBAMの報告義務が始まり、報告期間限定の実施規則のドラフト及び附属書が公開されたことを受けて、中身を読み込んでいます。 詳細を確認したい方は、こちらで原文に当たってください。 もちろん、英語ですが。 前回は、報告の項目と対象となる温室効果ガスを紹介しました。 今回は、「事業所レベルの排出量、生産プロセスの帰属排出量、商品の組込排出量、支払炭素価格」という章を読んでいきます。なお、対象セクター毎の測定方法は極めて技術的なので、一般的なものだけにした

移行期間のCBAMルールを考える(2)

今年23年10月から26年1月までの移行期間における報告内容を規定する実施規則のドラフト及び附属書が公開されましたので、その内容を見ていこうと思います。 なお、7月11日までパブコメを実施していましたので、10月からの移行期間前に発表される正式版では修正が入るかとは思いますが、その場合は、適宜キャッチアップしていこうと思っています。 CBAMについては繰り返しご案内しています。 詳細については、こちらを参照ください。 さて、1回目は、CBAMの変遷や位置づけをご紹介して

気候関連情報開示ルールの策定状況

今年23年6月26日、IFRS財団のAnnual Conference において、ISSBが満を持してIFRS S1&S2をリリースしたのは、皆さんもよくご存知かと思います。 その後、一週間に亘って、フランクフルト、ヨハネスバーグ、ラゴス、ロンドン、ニューヨーク、サンチャゴの各証券取引所及びシンガポールのASEAN Capital Markets Forumでローンチイベントが開催されるなど、6月最終週は、まさにISSB一色でしたね。 各国の金融監督官庁を始め、パートナー

NFRDからCSRDへ、自主的から義務へ

2022年は様々な変化があった年でした。 環境分野を専門にしている立場からすると、何と言っても、情報開示項目の多様化と統一化です。 一見矛盾しているような表現に感じられるかもしれませんが、このようにしか表現できません。というのも、「情報開示」といえば、以前であれば「財務情報」であったように思いますが、昨年からは「非財務情報」の開示ルールが一気に花開いた感じです。 ・気候変動 ・サスティナビリティ ・生物多様性 ・人的資本 ・ダイバーシティ ・労働安全衛生 などなど つ