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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま…
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#開示

第1回 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG(3)

3月26日開催の「金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第1回)」の内容を紹介しています。 当日の資料はDLできるのですが、残念ながら、ライブ映像は非公開。ですので、見逃してしまった方のお役に立てるよう、ご紹介できればと思います。 さて、ワーキンググループで議論する事項として示されたのは、次の5点なのですが、1.及び3.についての説明が中心でした。 前回までで、このワーキンググループが設置された背景と目的、有価証券報告書の非

SSBJオープンセミナー(10)

3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナーで紹介された、「審議の過程で意見が分かれた主な項目」に対する基準案及び代替案の紹介シリーズ。 当日説明があったのは、次の「主な9点」でした。 当日の資料は、こちらのサイトからダウンロードできます。 noteと併せて参照ください。 9回目に紹介したのは、7つ目及び8つ目の論点でした。 今回は、最後の論点9をご案内していきます。 IFRS S2では、内部炭素価格(internal carbon price)について、次のよう

SSBJオープンセミナー(8)

3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナーで紹介された、「審議の過程で意見が分かれた主な項目」に対する基準案及び代替案の紹介と理由について、ご案内しており、今回が8回目です。 こちらのサイトから、当日の資料はダウンロードできますので、noteと併せて参照ください。 当日説明があったのは、次の「主な9点」です。 前回は、5つ目の論点までご紹介しました。 長くなっており、恐縮です。 今回は、6つ目の論点に移って参ります。 この論点をひと言で言うと、こうなります。

SSBJオープンセミナー(5)

3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナーで紹介された、「審議の過程で意見が分かれた主な項目」に対する基準案及び代替案の紹介と理由について、ご案内しており、今回が5回目です。 こちらのサイトから、当日の資料はダウンロードできますので、noteと併せて参照ください。 当日説明があったのは、次の「主な9点」です。 前回は、2つ目の論点までご紹介しました。 今回は、3つめの論点を見ていきましょう。 1と2は概念的な内容だったため、スタンダードセッターのSSBJでは重要

大波乱のSSBJ第30回会合(3)

前回まで、2回に亘って、金融庁の野崎課長の発言及びそれから想定される将来の規制について、想いをはせてきました。 課長退席後は、通常の委員会に戻りましたので、そちらの議論もお届けしておきますね。 個人的に着目したのは、次の3点 1は皆さん気になるところでしょう。 ESRSにおいても、EFRAGのドラフトに対し、欧州委員会から出てきた修正案では、「マテリアリティ」に関わらず開示すべきとされる対象が大幅に削られ、「骨抜きにされた」といった議論が持ち上がったことは記憶に新しいと

IFRS S1・S2が目指すところ

先日、日本版S1・S2プロジェクトの進捗状況をご案内しました。 月1回以上のペースで鋭意検討中のようなので、当初の予定通り、2023年度中にはドラフトが公開され、パブコメ実施。フィードバックの内容を反映して、2024年度中には確定基準がリリースされるのでは無いでしょうか。 とはいえ、S1・S2は来年2024年1月1日移行に開始する年次報告期間から適用が可能になりますので、任意開示にはなりますが、これに基づいた開示を行ってもよいわけです。 個人的には、将来の日本版S1・S2

「作る」から「使う」へ、フェーズチェンジ始まる

欧州委員会がESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サステナビリティ報告基準)の最終版を公開したことを受け、EFRAGが、報告の核となる2つの重要な概念についてのガイダンスを発表しました。 これにつていは、noteで順次ご案内していこうとしているところです。 (執筆段階で、1まで説明済み) 対象が大企業及び大手銀行に限られていたNFRDから、上場している中小企業まで含む50,000社へと拡大することから、欧州委

開示ルールの整理をしておきましょう

これまでnoteで何度となく紹介してきた、非財務情報の開示ルール。 ドラフトが公開され、パブコメが実施され、フィードバックを精査してファイナライズ、最終版のリリースという各ステージで取り扱ってきましたが、複数のルールが並行して走っているのに加え、クレジットやらSBTやら、GHGプロトコルやら、他のイニシアチブもあったりで、自分自身混乱していたりします。 ということで、ここで立ち止まって、整理しておこうと思います。 まずは、先月末、大々的にリリースし、エマニュエル・ファベ

気候関連情報開示ルールの策定状況

今年23年6月26日、IFRS財団のAnnual Conference において、ISSBが満を持してIFRS S1&S2をリリースしたのは、皆さんもよくご存知かと思います。 その後、一週間に亘って、フランクフルト、ヨハネスバーグ、ラゴス、ロンドン、ニューヨーク、サンチャゴの各証券取引所及びシンガポールのASEAN Capital Markets Forumでローンチイベントが開催されるなど、6月最終週は、まさにISSB一色でしたね。 各国の金融監督官庁を始め、パートナー

ESRSリリースへ向けて一歩前進(2)

欧州委員会が現在パブコメにかけている、EFRAGが作成し、委員会が修正を加えたESRSの委任法草案について、説明しています。 その修正のポイントは、下記の3点でした。 前回は、1.について説明しました。 今回は、2及び3について説明していきたいと思います。 「2.中小企業などの報告負担を軽減すること」は、至極当然。 前回もご案内したように、CSRDの前身のNFRDが定めた開示のガイドラインが法的拘束力を有しないものであったのに対し、ESRSは法的拘束力を持つ訳ですから

NFRDからCSRDへ、自主的から義務へ

2022年は様々な変化があった年でした。 環境分野を専門にしている立場からすると、何と言っても、情報開示項目の多様化と統一化です。 一見矛盾しているような表現に感じられるかもしれませんが、このようにしか表現できません。というのも、「情報開示」といえば、以前であれば「財務情報」であったように思いますが、昨年からは「非財務情報」の開示ルールが一気に花開いた感じです。 ・気候変動 ・サスティナビリティ ・生物多様性 ・人的資本 ・ダイバーシティ ・労働安全衛生 などなど つ