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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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#カーボンニュートラル

カーボン・オフセット都市ガスの意義

令和7年度の報告(令和6年度実績)から適用される新しい排出係数については、noteでお知らせしたところです。 この際には、一番馴染みがある電力の排出係数における扱いについて、及び、新しく導入される排出係数の概要、名称についてご案内しました。 新しい排出係数が導入される目的の一つは、SHK制度における算定方法のグローバル化でした。詳しくは、上記noteを参照下さい。 ですが、今回の排出係数の見直しは、電力だけでなくガス(熱)も関係しており、逆に、こちらの方に重点があったと

目標設定から移行計画へ

2050年ネット・ゼロを目指すに当たって、中間目標年である2030年が近づくに連れて、計画段階から、リアルな削減を行い、実績を出していく段階に移行すべきというnoteを、書きました。 この文脈で、アップルの例が思い出されましたので、私なりの意見を述べておきたいと思います。 アップルが昨年、Apple Watchの特定モデルでカーボン・ニュートラリティを達成した旨を公表。マークをお披露目したり、Lisa Jackson (VP, Environment, Policy an

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(3)

2回に亘り、ネットゼロとカーボンニュートラリティについてご案内してきましたが、ISO14068−1では、分かりやすい図や表を用いて説明されています。だったら「先にやってよ〜」とお叱りを受けそうですが、定義の言葉を丁寧に拾いたいと思い、このような構成にしました。 規格の方では、「5.3 Carbon neutrality pathway」という章を設け、カーボンニュートラリティを目指すに当たっては、このような経路をたどるでしょうという事例が掲載されています。 何もしていない

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(1)

ISO化されて盛り上がる「Carbon neutrality」ですが、サス担の方は社内では専門家ですので、最初に用語を正しく理解しておくことが何よりも重要。算定と同じく、ファクトに基づいてしっかりと把握しておきましょう。 まず、対象としているガスが、CO2だけなのか、温室効果ガスも含むのか。 さらに言うと、温室効果ガスは何を指しているのかという論点もあります。 まず、温室効果ガス(GHGs:Greenhouse gases)については、IPCCは次のように定義しています。

ISO14068−1を深掘りしてみた(1)

ISO14068−1 Carbon neutralityがリリースされたことは、先日報告しました。 皆さん、待ちに待っていたことでしょう。 一番の注目は「Carbon neutrality」の定義だったのではないでしょうか。 ですので、一部を抜粋しながら説明したいと思います。 ちなみに、ISOは著作物ですので、詳細は購入の上、参照ください。 ISOのウェブサイトでは、一部は参照できるようになっています。 その中の、章立てをご紹介しましょう。 気になるのは、ずばり「3.1

ISO14068-1がリリースされましたね

開発が続けられていた、カーボンニュートラルのISOですが、COP28期間中の2023年11月30日にリリースされました。 この規格は、組織や製品(建築物やイベント等の商品やサービス)において、定量化、削減、オフセットを通じてカーボンニュートライティを達成・実証するための原則、要求事項、ガイダンスを提供した規格です。 詳細については、ISOのウェブサイトを参照ください。 規格のサンプルを読むこともできます。 購入に当たっては、日本規格協会の「Webdesk」がお手軽でよい

F1を通じて未来が見える?

22年、F1を開催しているFormula 1は、30年Net-Zeroを宣言しています。 その大本営がリリースしている2019年のGHG排出量を見ていて、F1ファンとして、理解はしていたものの、Net-Zeroは遙かに遠いなぁと実感しました。 マシンやタイヤ、パーツ、パドック設営資材などなど、開催に関わるロジスティクスによる排出量が、45%を占めているという現実。そして、人の移動及び宿泊に関わる排出量が27.7%、オフィスやファクトリーなどのファシリティにおける排出量が1

サプライヤー気候クラブを目指してみよう

排出量削減についてアドバイスを求められた際に、この回答に尽きてしまう現状。自己所有やPPA(オンサイト・オフサイト)、電力証書(非化石証書・グリーン電力証書)など形態は異なれど、結局、使用するエネルギーの脱化石なのです。 ただ、サプライチェーン全体での排出削減で考えると、それ以外にも、ソリューションは存在します。Appleの取組が参考になります。 Appleは、2021年3月、2030年までにすべての製品をカーボンニュートラルにするという目標達成に向けて、サプライヤーに対

カーボンニュートラルLNG

このところ、時折耳にするようになった「カーボンニュートラルLNG」 クレジットを扱う立場としては、何でニュートラルにしているかが気になったので調べていたところ、東京ガスさんが事務局を務める「カーボンニュートラルLNGアライアンス」というものがあることを、知りました。 そこには、このように定義されていました。 気にしていたのは、「削減オフセット」ではないかという点。 そのサイトに、ズバリの答えがありました。 VCSとGSは、世界で最もメジャーなボランタリーなクレジットで