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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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#ETS

GX-ETS制度設計始動(7)

9月3日に開催された「GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG」第1回会合の様子をお届けするシリーズ最終回。 YouTubeでアーカイブはこちらです。 前回までで、事務局のカーボンプライシング動向報告及び論点紹介、業界団体の現状取組の説明についてご案内してきました。今回は、委員の方々のコメント及び、業界団体との質疑応答の様子について、個人的に気になったところを紹介したいと思います。 なお、議事録が公開されていますので、実際どのようなやり取りがあったのかは、動画だけで

GX-ETS制度設計始動(4)

9月3日に開催された「GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG」第1回会合について、シリーズでご案内しています。 前回はこちらです。 YouTubeでアーカイブを視聴できますので、お時間のある方は「場の空気」を感じるために、ご覧になるとよいかと思います。とは言え、2時間半の長丁場ですから、1.5倍速を活用しましょう(笑) 3回目までで、検討の視点の内「③目標達成に向けた規律強化」まで説明しましたので、今回は、「④取引の在り方」と「⑤投資予見性」について紹介していきま

GX-ETS制度設計始動(3)

9月3日に開催された、GX-ETSの設計に関し、有識者や産業界の意見を踏まえた検討を「GX実現に向けたカーボンプライシング専門WG」第1回会合について、前々回からご案内しています。 YouTubeでアーカイブを視聴できますが、何せ2時間半超えの長丁場。 「とても観てられない」という皆さんに、内容をかいつまんでお届けしています。ただ、お時間のある方は「場の空気」を感じるために、流し見で結構なので、ご覧になるとよいかと思います。 前回は、事務局による国内外におけるETSのレビ

農業にも算定が求めれられる日が?

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 このうち、農業セクターのGHG排出量は2.8% 分野別だと、エネルギー分野が86.8%で圧倒的なので、このセクターの排出削減が必要であることは、論を俟たないところでしょう。 しかし、メタンの排出に着目すると、違った世界があります。 稲作からの排出が44%と最も多く、家畜の消化管内発酵に伴う排出が28%、家畜排せつ物管理に伴う排出が9%と、農業に関わる排出量が圧倒的なのです。 N2Oを見ても、農用地の土壌

各国CPにおけるクレジットの扱いについて(2)

現在、世界中で導入が進んでいる、ETS(Emissions Trading Scheme)。 その制度運営について、前回からご案内しています。 今回は、ETSにおいて使用できるクレジットについて。 前回は、どのような種類のクレジットがあるかまで、説明しました。 ご覧になられていないのであれば、こちらからどうぞ。 前回説明しましたように、「二国間」と「国内制度」において使用できるクレジットが基本となります。「二国間」は、日本(JCM)やスイス(Klik)、シンガポールなど

台湾のクレジット事情 現状確認

AlliedOffsetsの隔週発行ニュースレター「Policy Carbon Currents」 気になっていたイシューをタイムリーにレポートしてくれるので、非常に助かります。 今回は、台湾のクレジット動向がテーマ。 法規制関係は中国語のみが多いので、とかく情報収集に苦慮するので、めちゃくちゃ参考になりました。 昨年23年8月、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のカーボン・クレジット市場「台湾炭権交易所」を設立、関連する法整備などを行った後

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(1)

クレジットの創生に東奔西走する私としては、捨て置くわけにはいかないタイトルのレポートを、BeZero Carbonが出していました。 BeZero Carbonは、独立したリスクベースでプロジェクトの品質を評価するカーボン・クレジット格付企業です。 専門のアナリストと独自のモデルにより、ライフサイクルのあらゆる段階に対するレーティングとリスク分析を行っており、その方法論や評価フレームワークが常に公開されていることから、個人的に期待しています。継続的に監視され更新されるのも

カーボン・クレジットマーケット元年

先月末、JPXが「カーボン・クレジット市場」の開設日を発表しました。 メディアが一斉に伝えましたので、皆さんもよくご案内のことでしょう。 2022年9月から2023年4月まで実施した試行事業では、実証参加者は183者、実際に注文したのは60者、売買が成立したのは55者だったとのこと。活況とは言えない状況ではありましたが、本稼働ではどうでしょうか。 取引対象は、当面はJ-クレジットのみですが、JCMやGXリーグの超過排出枠にも対象を拡げたいとしています。また、立会外取引も想

カーボンプライシングとGX戦略(5)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、5回目です。 4回目では、「将来の税負担をより軽減し、成長志向型カーボンプライシングの果実を得るために、いち早く脱炭素化に着手しましょう」というお話をしました。 今回は、「よし、やってやろう」という動機付けになるような、排出量削減がもたらすベネフィットをご案内したいと思います。 まずは、「マイナス→ゼロ」、つまり、リスクを回避・低減できるというベネフィット

GHG削減待ったなしです

2023年に突入しました。 2022年は、4月にnoteを始めたのが、個人的に大きな進歩。 というのも、これまで、個人的な発信をほとんどしてこなかったからです。 もちろん単発的にはありましたが、継続したことがありませんでした。 ただ、お客様の脱二酸化炭素化、持続可能な研究開発、地域活性化等を支援していく中で、その活動のコアとなる部分はほとんど共通しており、繰り返しご説明する過程で、かなりの程度蓄積され、もっと活用できるようにしたいと思い、重い腰を上げたのでした。 具体的に