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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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#ネットゼロ

SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、2024年2月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2024年2月22日現在です。 前回はこちら。 前回もお知らせしましたが、再度お伝えしておきます。 これまでお届けしていたデータで、下記のような誤りがありました。 ですので、Net-Zeroの参加企業数は「審査中」の企業数分だけ増えますし、SBTi短期の認定率は、分母が「コミットのみ」の企業数だけ減るので、高くなります。 なので前回から、SBTi短期には「審査中」「コミットのみ」を追

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(3)

2回に亘り、ネットゼロとカーボンニュートラリティについてご案内してきましたが、ISO14068−1では、分かりやすい図や表を用いて説明されています。だったら「先にやってよ〜」とお叱りを受けそうですが、定義の言葉を丁寧に拾いたいと思い、このような構成にしました。 規格の方では、「5.3 Carbon neutrality pathway」という章を設け、カーボンニュートラリティを目指すに当たっては、このような経路をたどるでしょうという事例が掲載されています。 何もしていない

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(1)

ISO化されて盛り上がる「Carbon neutrality」ですが、サス担の方は社内では専門家ですので、最初に用語を正しく理解しておくことが何よりも重要。算定と同じく、ファクトに基づいてしっかりと把握しておきましょう。 まず、対象としているガスが、CO2だけなのか、温室効果ガスも含むのか。 さらに言うと、温室効果ガスは何を指しているのかという論点もあります。 まず、温室効果ガス(GHGs:Greenhouse gases)については、IPCCは次のように定義しています。

SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、12月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2023年12月28日現在です。 前回はこちら。 最初に、申請のためのフォームが新しくなったことをお伝えしましょう。 2023年は、体制の変更も発表、スタンダードセッターとして、申請企業の期待値に応えるという、意思表示をしたのは、皆さんもご存知でしょう。 ですが、年末になっって、改革の第2弾を発表したのです。 認定スピードアップのための、ドキュメントのストリームライン化です。 今まで、短期

ISO14068−1を深掘りしてみた(3)

2023年11月30日、「ISO14068−1 Carbon neutrality」がリリースされたことを受けて、皆さんが気になるポイントについて解説しています。 2回に亘ってご案内したところで、ポイントは、「ネットゼロ達成のためには、吸収除去系クレジットしか使用できない」ということでした。 ここで、「カーボンニュートラリティ」ではなく「ネットゼロ」と言っているのが曲者で、その心は、「カーボンニュートラリティ達成のためには吸収除去系クレジット以外も使用できる」ということな

ネットゼロアライアンス 脱退ドミノ?!

先月、CDP主催で「CDP EU Sustainable Finance」という一連のウェビナーが開催されていました。その中の一つを採り上げてみたいと思います。 こちらは、情報開示の現状や、CSRDのベネフィット、スコープ3のベストプラクティス、EUタクソノミーのメリット、カーボン・オフセット、さらに、いわゆるスコープ4(Avoided emissions)まで幅広く取り扱ったもので、座長の下、MSCIの担当者とCDP担当者が対談するという形式で行われていました。 その中

CDPはどこに向かうのか?

異論があるかもしれませんが、個人的には、気候変動開示周りのルールにおいて、「デファクト」的なポジションにあるのは、以下のように考えています。 CDPは、2000年設立当初は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」という名称でしたが、2009年には「水(Water)」、2011年には「森(Forest)」「都市(City)」等に調査対象を拡大したことから、2013年、正式名称を「CDP」に変更したのは、皆さんもご承知のことだと思います。 ですので、その心は「気候変動だ

ネットゼロを考える(その2)

前回は、「ネットゼロ」という概念が、大企業の間で浸透し始めたことにより、取り組みの要否について、意識されることが多くなったということを、お話ししました。プライム市場上場企業全てに対し、CDPが回答要請するようになったことなども遠因にあるのでしょう。 その「ネットゼロ」、相手を知らないとどうしようもない、ということで、その定義を確認しておきましょう。 各イニシアチブで定義されているように思われるかもしれませんが、大元はIPCCの用語集です。これに対し、それぞれ、必要であれば

ネットゼロを考える(その1)

「Race To Zero campaign」については、既にご紹介しました。 2030年までに排出を半減し、2050年までに健全で公正なゼロカーボンの世界を創り出すため、直ちに行動を起こすことを誓約した、世界中の企業や自治体、投資家、教育機関などの非政府アクターが参加する国際キャンペーンで、2020年7月に発足、ハイレベル気候行動チャンピオンのナイジェル・トッピング氏とマムフード・モヒールディン博士がリードしています。 具体的には、こちらを参照ください。 2022年7