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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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#排出量

カーボン・クレジットの種類について

カーボン・クレジットについて説明する際は、無難で安心できる出典として、経産省の「カーボン・クレジット・レポート」を参照しています。 レポートによると、カーボン・クレジットは、次のように分類されるとあります。(本文は文章ばかりで分かりにくいので、概要を使って説明します) このように、「排出回避/削減」クレジットと「固定吸収/貯留」クレジットと、大きく2つに分かれます。前者は「削減回避系」、後者は「吸収除去系」とも呼ばれており、今後はこちらで表現しますので、ご承知おき下さい。

農業にも算定が求めれられる日が?

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 このうち、農業セクターのGHG排出量は2.8% 分野別だと、エネルギー分野が86.8%で圧倒的なので、このセクターの排出削減が必要であることは、論を俟たないところでしょう。 しかし、メタンの排出に着目すると、違った世界があります。 稲作からの排出が44%と最も多く、家畜の消化管内発酵に伴う排出が28%、家畜排せつ物管理に伴う排出が9%と、農業に関わる排出量が圧倒的なのです。 N2Oを見ても、農用地の土壌

削減実績量?⊿CO2?

サステナ界隈で話題になってる(?)、経産省の研究会での議論内容。 ご存知の方も、いらっしゃることでしょう。 昨年11月14日の第1回会合で紹介されていたときには気づいていませんでしたが、年が明けてからも継続して検討され、メディアでも報道されるようになり、にわかに注目を集めるようになった感があります。 2月9日に行われた第3回会合では事務局から名称案も提示され、委員の皆さんも真面目に意見を述べるなど、もうリリース間近の雰囲気でした。 その注目の的は「削減実績量(⊿CO2)

日本の食を守っていきたい

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 ガス種別だと以下のようになり、当然ながらCO2排出が主要因です。 また、分野別だと、エネルギー分野が86.8%で、ダントツ。 化石燃料の燃焼が含まれるので当然ですね。 他方、今回話題に上げようと思っている農業は、2.8%に過ぎません。 このように、CO2換算のGHG排出量で表したデータを見る限り、農業分野からの排出量は微々たるもので、優先順位は低いと思われるかもしれません。 確かに、CO2の排出だけを見

ISO14068−1を深掘りしてみた(3)

2023年11月30日、「ISO14068−1 Carbon neutrality」がリリースされたことを受けて、皆さんが気になるポイントについて解説しています。 2回に亘ってご案内したところで、ポイントは、「ネットゼロ達成のためには、吸収除去系クレジットしか使用できない」ということでした。 ここで、「カーボンニュートラリティ」ではなく「ネットゼロ」と言っているのが曲者で、その心は、「カーボンニュートラリティ達成のためには吸収除去系クレジット以外も使用できる」ということな

データ散歩〜1人当たりエネルギー使用量

WRIが、23年3月2日、世界のGHG排出量データをアップデートしました。 前回は、21年12月29日なので、1年2ヵ月ぶりですね。21年分のデータまで含まれています。 奇跡的な合意に至ったパリ協定がついこの間のようですが、その、2015年からしても、実に様々なことが起こりましたね。 批准あるいは参加した国・地域は196に達し、全体の排出量に占める割合は96%以上。さらに、US、日本、カナダ、ドイツやメキシコなど、57の国が、長期の脱炭素目標を引き上げています。 データ

GHG削減待ったなしです

2023年に突入しました。 2022年は、4月にnoteを始めたのが、個人的に大きな進歩。 というのも、これまで、個人的な発信をほとんどしてこなかったからです。 もちろん単発的にはありましたが、継続したことがありませんでした。 ただ、お客様の脱二酸化炭素化、持続可能な研究開発、地域活性化等を支援していく中で、その活動のコアとなる部分はほとんど共通しており、繰り返しご説明する過程で、かなりの程度蓄積され、もっと活用できるようにしたいと思い、重い腰を上げたのでした。 具体的に

CFPの算定・検証に関する検討会(その3)

9月22日に実施された「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証に関する検討会」の内容について、2回にわたって紹介してきました。 前回は、CFPのこれまでの経緯や、その算定ルールに関する課題を事務局がどう捉えているかについてお話ししました。 今回はCFPの課題の2つ目、データ収集問題です。 算定においては、もう、これに尽きると言っても過言ではないでしょう。 算定支援の現場では、「経理システムから金額データを取り込んで下さい」

IATA、二酸化炭素排出量計算ツール「IATA CO2 Connect」

国際航空運送協会(IATA)が、カタール・ドーハで開催中のIATA年次総会で、二酸化炭素排出量の計算ツール「IATA CO2 Connect」を発表しました。 エアライン20社と主要な機体メーカーが、国際標準化団体やロジスティクス企業と協議の上で考案したものですが、何と言っても、驚くべきは、エアライン毎に異なる座席のコフィグレーション及び客室クラスに応じた係数が設定されていることです。 特定のフライトにおける乗客1人当たりのCO2排出量を定量化するための、業界で最も正確に