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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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2024年1月の記事一覧

日本の農業の未来は明るい!?

2023年1月22日、札幌で開催された、HAL財団主催のトークセッションに参加してきました。北海道を拠点にした財団でありながら、全国各地から、先進的な農業を実践されている農家の皆さんや、農業や食に関わる事業者、シンクタンク、政府関係者、コンサルタントの方々など、総勢約100名が北の大地に参集しました。 参加されたのは、いずれも、サスティナブルな農業を目指して、先進的な取組をされている方々ばかり。稲作が、いかにGHG、特にメタンを排出しているかを認識されており、このままでは、

統合化の端緒となった2023年(3)

(1)で情報開示の「内容」、(2)で情報開示の「方法」を振り返りました。 3回目の今回は、算定の対象及び方法を見ていきましょう。 2回目でもご案内したように、企業は、組織の排出削減に励む一方、製品単位での排出量を表示し、最終消費者の判断材料とする動きが顕著になってきました。排出量が少ない製品を購入すれば、グローバルでの排出量の削減に繋がります。 製品やサービスのライフサイクル全体におけるGHGの排出量は「カーボンフットプリント」と呼ばれ、ISO規格も存在します。(ISO1

統合化の端緒となった2023年(2)

前回は、情報開示の「内容」について見てきました。 今回は、「方法」について振り返りたいと思います。 情報開示「方法」については、何をさておいても、開示プラットフォームのデファクトスタンダードを標榜するCDPでしょう。 回答は、サス担としては絶対外せない、毎年の恒例行事。 2022年からは、プライム上場企業全社が対象となりが話題となりました。 皆さん同様私にとっても一大関心事なので、繰り返しご案内しています。 そんなCDP、2024年にはドラスティックな変更があります。

GHGPのLSRガイダンス、23Q4なのか?

GHGプロトコルが開発中の、Land Sector and Removals Guidance。 土地利用変化や森林、農業などの吸収量算定ルールの大本命とみられており、SBTiがFLAGセクター別ガイダンスを、22年9月にリリースして以来、俄然その動向が注目されていたのは、皆さんもご承知の通りかと思います。 もちろん私もウォッチしており、23年Q2の予定が24年Q2へ一年延期された際も、現状と共にお届けしました。 目標設定のデファクトスタンダードであるSBTiとしては、

日本の食を守っていきたい

日本の2021年度のGHG排出量は、11億7,000万tCO2e。 ガス種別だと以下のようになり、当然ながらCO2排出が主要因です。 また、分野別だと、エネルギー分野が86.8%で、ダントツ。 化石燃料の燃焼が含まれるので当然ですね。 他方、今回話題に上げようと思っている農業は、2.8%に過ぎません。 このように、CO2換算のGHG排出量で表したデータを見る限り、農業分野からの排出量は微々たるもので、優先順位は低いと思われるかもしれません。 確かに、CO2の排出だけを見

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(1)

ISO化されて盛り上がる「Carbon neutrality」ですが、サス担の方は社内では専門家ですので、最初に用語を正しく理解しておくことが何よりも重要。算定と同じく、ファクトに基づいてしっかりと把握しておきましょう。 まず、対象としているガスが、CO2だけなのか、温室効果ガスも含むのか。 さらに言うと、温室効果ガスは何を指しているのかという論点もあります。 まず、温室効果ガス(GHGs:Greenhouse gases)については、IPCCは次のように定義しています。

SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、12月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2023年12月28日現在です。 前回はこちら。 最初に、申請のためのフォームが新しくなったことをお伝えしましょう。 2023年は、体制の変更も発表、スタンダードセッターとして、申請企業の期待値に応えるという、意思表示をしたのは、皆さんもご存知でしょう。 ですが、年末になっって、改革の第2弾を発表したのです。 認定スピードアップのための、ドキュメントのストリームライン化です。 今まで、短期

統合化の端緒となった2023年(1)

2023年 後から振り返ると「あの年から始まったよな」という1年になるのではないでしょうか。 気候変動対策の文脈でも、この30年、様々なマイルストーンがありました。 温暖化を認識したのは、地球サミットが開催された1992年。 温暖化対策を先進国がプレッジしたのは、京都議定書が発効した2005年。 温暖化対策を全締約国がプレッジしたのは、パリ協定が発効した2016年。 2050年Net-Zeroの機運が高まったのは、Race To Zeroが発足した2020年。 サスティ