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目指せネットゼロ、世界は既に動いてる

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2050年カーボンニュートラルを政府が打ち出す前から、すでに、世界は動いていました。「やるか、やらないか」ではありません。「いつやるか」です。そのために必要な情報を、提供していき…
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2022年10月の記事一覧

Apple サプライヤーに対する最後の一押し

グローバルサプライチェーンとすべての製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを達成するという野心的な目標に向けて注力していた同社、 目標年の2030年が近づくに当たり、最終兵器を繰り出してきましたね。 企業のバリューチェーン排出量の算定支援をしている側として、「いずれはこうなりますよ」とアナウンスしていた内容とはいえ、まだ先の話と、自身考えていました。 もちろん、ムチだけ無く、アメも提供されます。 既に、クリーンエネルギープログラムを通じて、一連の無料のEラーニン

FLAG向けガイドラインのリリース(4)

ガイダンスの説明も4回目。 今回は、炭素除去(Carbon Removals)の目標設定です。 1〜3回目はこちらです。 炭素除去は、1.5℃目標を達成する上で、FLAGセクターに求められている貢献度の半分を占めるとのことで、SBTiとして重要視しているようです。 裏を返すと、当たり前ですが、FLAGがエネルギー/産業セクター排出量と切り離して算定される理由が、炭素除去による「カーボンネガティブ」な訳で、これが無ければ合算しても問題ないということ。(意味が無い) なの

ブルーカーボンのご案内

以前、ブルーカーボンを推進している旨、お伝えしたことがありました。 「ブルーカーボンとは何ぞや?」については、こちらを参照頂くのが一番良いです。国内の第一人者、港湾研究所の桑江先生が、こちらで説明されています。 そのなかで、このようにご自身の経験を交えて紹介されています。 具体的にはどんなことをやっているのか、どのような思いで実施されているのかは、こちらのブログが分かりやすく、共感できます。 もちろん、桑江先生も寄稿されています。 さて、ここで改めてご案内するのは、

FLAG向けガイドラインのリリース(3)

9月末にリリースされた、FLAG向けのガイドライン(SDA)の話をしています。 1回目では、何故注目しているのか、2回目では、FLAGが他のセクターと別立ての目標設定になっている理由について私なりの見解をご案内しました。 今回は、その目標設定の続きから。 FLAG目標設定に当たっては、以下の2つのアプローチが用意されています。 1.FLAGセクター・アプローチ:生産者及び提供者向け   林業、農業、畜産業、食品業 2.FLAGコモディティアプローチ:商品サプライヤー向け

FLAG向けガイドラインのリリース(2)

FLAG(FOREST, LAND AND AGRICUTURE:林業、土地利用及び農業分野)のSDA(Sectral Decarbonization Approach:セクター別脱炭素化アプローチ)が9月末にリリースされましたので、その紹介をしています。 公式サイトはこちらです。 1回目は導入だけで終わってしまいましたので、今回は内容に入っていきたいと思います。 さて、気になるのは、このSDAに基づいてFLAG目標を 1.誰が設定しなければならないか 2.いつから設定

FLAG向けガイドラインのリリース(1)

先月末の9/28、FLAG向けのセクター別ガイドラインがリリースされました。 FLAGとは、FOREST, LAND AND AGRICUTUREのことで、林業、土地利用及び農業分野のことを意味します。この他、輸送セクター、セメント・鉄鋼などの産業セクター、建築セクターなど、排出量が著しいセクターについては、セクター別ガイドラインの整備が進んでいます。 さすが、SBTi。 そうそうたるメーカーが、パイロットテストに参加していたようです。 FLAGに注目していたのは、その

CFPの算定・検証に関する検討会(その3)

9月22日に実施された「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証に関する検討会」の内容について、2回にわたって紹介してきました。 前回は、CFPのこれまでの経緯や、その算定ルールに関する課題を事務局がどう捉えているかについてお話ししました。 今回はCFPの課題の2つ目、データ収集問題です。 算定においては、もう、これに尽きると言っても過言ではないでしょう。 算定支援の現場では、「経理システムから金額データを取り込んで下さい」