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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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2024年1月の記事一覧

2023年のVCMを振り返ってみよう(2)

cCarbonが、2023年のVCMについて分かりやすくレビューをしてくれていました。ですので、それを参照しつつ、個人的なコメントも織り交ぜて、お届けしております。 前回は、カーボン・クレジットの償却量(二度と使えなくする処理で、利用量と考えてもらってよいです)について説明しました。今回は、その種類と発行量について見ていきたいと思います。 方法論毎の発行量がこちら。 2020年から2023年までの4年間という短い期間ですが、再エネ導入からREDD+、そして高効率機器への

2023年のVCMを振り返ってみよう(1)

VCMの動向をチェックするのにお世話になっている「cCarbon」 新年を迎え、2023年をレビューする記事を公開してくれていました。 日本でもGX-ETSが始動するなど、カーボン・クレジット界隈が賑やかになり始めた年でもありましたよね。このレビューでは、Verra(VCS), Gold Standard(GS), American Carbon Registry(ACR), Climate Action Reserve(CAR)の4大メジャーのVCMのデータを集計していま

ブルーカーボンのおさらい(2)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしています。1回目はこちらです。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢についてご案内します。 まずは、22年11月にエジプトのシャルム・アル・シェイクで開催されたCOP27の決定文書「Sharm el-Sheikh Implementation Plan」に、海域の保護に関する文章が盛りこまれたことが、エポックメイキングでした。 今年実施された、COP28におけるGSTの決定文書「O

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(1)

ISO化されて盛り上がる「Carbon neutrality」ですが、サス担の方は社内では専門家ですので、最初に用語を正しく理解しておくことが何よりも重要。算定と同じく、ファクトに基づいてしっかりと把握しておきましょう。 まず、対象としているガスが、CO2だけなのか、温室効果ガスも含むのか。 さらに言うと、温室効果ガスは何を指しているのかという論点もあります。 まず、温室効果ガス(GHGs:Greenhouse gases)については、IPCCは次のように定義しています。