読書記録「銀河の片隅で科学夜話」

 我々人間にとって永遠に続くように思う日々の繰り返し――朝に日が昇り夜には日が沈むという24時間のサイクルですら数億年前の地球の1日は20時間であったり、またこれからの未来には1日は30時間、40時間へと変わっていくだろう。この世界に永遠に続くなんていうものはなく、常に変化を続けているのだ。

 という1話から始まる本書は、優しいことばで書いているようで内容理解が追い付かないような、かみ砕きすぎてよくわからないようなこれまでの科学エッセイとは全く異なる1冊。一つの事象に関しての深い理解とそれを伝えるための表現力。それを補足するような歴史の知識と素晴らしい挿絵。読み終わるのがもったいなく、毎日1~2話を黙読、音読で繰り返し読み返して存分に味わい、同時にその才能に嫉妬もした。

 これまで、事象や実験のイメージが沸かずに苦手意識を持っていた物理分野だったが、著書を通じて興味がムクムクと沸き上がり、思わず子供向けの物理解説本も読んでしまった。(でも理論の根本の、肝心なところが理解できなかった・・・やはり勉強不足。)

(内容はやさしく、とにかく絵がかわいい。でも小学生には難しいかも。意外にも化学同人は絵本を多く出版していたようで、ラインナップを眺めるだけでも癒される~)



 在宅で生活していくために、会社を辞めたら何で生計をたてていこうかーーというのはここ半年くらいの私のもっぱらの課題で、常に思い悩んでいるところだ。これまでの社会人経験を活かし、フルテレワーク可能な企業へ応募するか、特技を活かした分野で勝負してみるか・・・理系の知識を活かすならサイエンスライター?などと妄想していた自分が恥ずかしい。著者の圧倒的な知識、理解力、伝える力、そして垣間見れる人間性。その足元にも及ばない私は、これからの20年余りで彼にまで追いつけるのか、否、無理だろうなと思ってしまう。

 それでも、世界とその真理を追究する面白さは科学の最大の魅力であり、それこそホモサピエンスの特徴とも思う。微力ながら私もそれを世に広める手伝いはしていきたいと自身の考えを再認識した。そのためには日々のインプットは重要で、著者も推奨していた「日経サイエンス」と「ニュートン」は久しぶりに読み直してきたい。

(個人的には、この2冊は高校生の時に友達と回し読みしていて、当時は理解ができなくとも面白いな~と思っていた思い出の雑誌。最近めっきりこういう類の本を開く機会が減ってしまったけれど、幅広く関心を持つためにもこういう雑誌はいいよねと実感。)


 自分探しをしている最中だからなのか、最近読む本はどれも心に刺さり、新たな発見が多い。コロナ禍でなければきっと今ごろは休職か退職して海外へ旅に出ていたと思うが、このご時世、本の世界でミクロマクロの世界を旅するのも悪くないと思う。



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