ポケモン俳句結果発表⑤

句友の細川鮪目さんの腹を"水の秋"と表現した自分を天才だと思っています。どうも、コンフィです。

さて、今回はジムリーダー賞8句ですね。私が街を任せても良い!と思える俳句を厳選致しました。


育て屋の前を往復する夜長
伊藤映雪

当たり前の光景ではあります。しかし、この当たり前を人はなかなか言えないもんです。現実で見たらおそらく育てやはドン引きする事でもゲームは淡々と受け止める。そして長い夜も受け止めてこれからどんどん厳選が続いてます。確かな発想と技術、語順、季語の選択などお手本にしたい句です。

ファイヤーのにらみつけたる案山子かな
伊藤映雪

ファイヤーとにらみつける。わかる人にとってはあまりにも有名な取り合わせ。そして案山子オチ。わかりやすくはありつつも意外性のある取り合わせになっており流石の一句です。最後の詠嘆も滑稽さを助けており見事でございます。

カビゴンに寄り添うなかま草若葉
捨楽

これは綺麗で優しい、柔らかい一句です。
全体を包み込む草若葉がカビゴンと周りの小さなポケモン達とうまく呼応しており、ポケモン映画の短編のような一句となっています。
中七の「寄り添う」と「なかま」の表記はひらがなと漢字でニュアンスが少し変わりそうですが、私はしっかりと肌に寄り添うかわいい小さいなかまのポケモンと想像しました。

水澄みてすこし肥えたるマダツボミ
沼野大統領

これは上手いすこしですねー。マタツボミのフォルム的に中七の描写と季語の選択が絶妙です。
ジョウト地方のキキョウシティを思い出す光景でどっしりとした一句は町の雰囲気にも良く合っています。
マタツボミの塔にこの句の句碑を設置したいです。

へこたれて帰省やリニアモーターカー
里山子

や の勝利だと思います。コガネシティとヤマブキシティの光景が浮かびます。二つの町ともに、丁度よい町の規模感のおかげでいい"挫折"を味わえそうというのも非常に選択として素晴らしいです。

ラブカス湧いて湧いて湧いて湧いて愛の日
イサク

この情緒を味わえるのが古き良きポケモンを表しています。ハートのうろこを集めるために捕まえられていたラブカス、時代を重ねるに連れて価値がどんどん薄れていきます。
私は、「戦闘にさほど使えない、うろこの要因としても薄れたラブカスにうんざりしている。けどハートの形が頭には残る愛の日」を想像しました。

龍淵に潜むヤドンの尾は甘し
tyokL

これ、見た瞬間びっくりしました。型は凄くシンプルです。前半の季語にヤドンという映像、尾というズームそして最後に甘しと出てくる。甘しと断定したのも非常に良かったと思います。
特に秀逸なのが助詞の"は"。このおかげでヤドンの尻尾を食べる文化を知らない方にもしっかりと句意がつたわるようになっています。

かみなりの石を握りて春惜しむ
阿部八富利

これはねぇ、、、、迷って迷って迷って迷ってこの位置に置きました。言いたい事はわかります、「ピカチュウだよね?握るんだよね?春惜しむは近くない?」
って言う意見は出て当然だと思います。
しかし、この句から強烈なリアリティーを感じます。
別にピカチュウじゃなくてもいいんです。
人間が石を握っている事、進化や強化、姿の変化、愛情が複雑に絡む状況が惜春の季節に存在している。
これぞポケモン俳句です。

⑥に続く、、、、、

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