好きな句を好きなように語るだけ(句友編①)

どうも、そこら辺の竜です。
前回自己紹介を書いてさーーて次は何を書こうかと思ったわけですが、せっかくなのでnoteを始めたきっかけでもお話しようと思います。

大きく分けて3つありますが、1つ目2つ目はありきたりなのでサクッと

①みんなやってたから

これはまあよくあるでしょう。
小学生の会話でもあるじゃないですか
「あの子もゲーム持ってるからほしーー」的な感じで「あの人もnoteやってる!あ、あの人も!うわぁnote始めたいなぁ」が理由の一つです。

②自分の好きなものを書きたいから

これは一言で言うと
Twitterの140文字じゃ足りねーーーーという事です。

③ある一句を深掘りして書きたいと思ったから

これが引き金ですね。まあ今回の句なんですけど。

という訳で話していきたいと思いまーーす!

その句は、、、

鈴白菜実さん @suzushiro73 の

アルバトロス決め天高きオーガスタ

です。この句は私が主催する「コンフィのしりしよくかい」(参加お待ちしてます!)に提出していただいた句です。(本来は非公開の句会ですが記事用に事前に許可をいただきました)
この句の良さを今回は次の3つに分けて話していきます。
①言葉選び&経済効率
②季語の選択
③違和感とその奥にあるまさかの時代背景

①に行く前に言葉の解説を軽く。

アルバトロス:ゴルフ用語で、1ホールの規定打数より3打少なくプレーする事
オーガスタ:ゴルフの4大メジャーの一つ、マスターズが開催されるコース。4大メジャーの内、毎年同じコースで開催されるのはマスターズのみである。

①言葉選び&経済効率

先程解説した言葉が早速生きてきます。最初の「アルバトロス決め」でゴルフだとわかり最後の「オーガスタ」で景が完成する仕組みとなっていますがアルバトロスの選び方がいいですね。滅多に出ないけどコンドル(4打少なくプレーする事)だと非現実すぎる。いい塩梅の言葉だと思います。
次にオーガスタ これだけで伝統や歴史、コースの雰囲気など知ってる人は様々な事を思い浮かべます。もしかしたら2021年大会で優勝した松山英樹選手を思った人も少なくはないでしょう。とにかく、読み手の想像を広がらせる引き金となる言葉選びが上手い句です。




②季語の選択

この句の季語は「天高き」秋の季語「天高し」の連体形です。秋になると大気が澄み、空が高くなったような気がする事を現す季語です。
季語の選択が気持ちよくて句自体を引き立てています。中七に季語を入れる形は季語が沈みやすく失敗しやすいですがこの句は季語意外の言葉が場面設定に徹しているため季語がしっかりと生きています。
しかし、最初にこの句を見たとき、私はある違和感を覚えました。それは、、、





③違和感とその奥にあるまさかの時代背景

という訳で先程は変な終わり方をしましたが、
勘のいい方はもうおわかりでしょう。
答えは、、、




「あれ?マスターズの開催って春じゃね?」

でしたーーーーーさて、何人がついて来れてるかはもうわかりませんが関係ありません。

そうです。なぜ秋の季語を使ってるのか私は最初理解ができませんでした。
実際その時のコンフィは一度この句を選から外しました。しかし私がとても浅はかでした。
あるんですよ1大会だけ、この違和感が発生しない大学が、、、
それが「2020年大会」です。

ダスティン・ジョンソンが優勝したこの回は"コロナ"の影響で11月開催。唯一この句の景が成立する事となります。ちなみにアルバトロスこそ出ていませんが、これは俳句的な嘘と理解する事ができます。実際イーグルだとレア感が少なすぎますしね。

俳句に時代背景を混ぜる時、キーワードが入っているとそちらに意識を取られすぎて発想が陳腐な物になりがちです。しかし、この句にはそれがどこにも無く深く見ていくと発見できるコロナの背景。この第二の世界の仕込み方に私は惚れてしまいました。

これを踏まえた上で表の読み方をしてみましょう。打球の音や広い空、カップインの喜びなどがコロナを吹き飛ばしてくれそうではありませんか。裏の意味とは対極に置かれた季語が見事に立っています。

まとめ

正直この17音からここまで読み取れる人がどれだけいるかはわかりませんしほぼ間違いなく深読みだと思います。しかし、こいつこんな深掘りの仕方するんだ、面白いなぁ と思っていただけたら嬉しいです。

この句を生み出し、掲載許可をいただいた鈴白菜実さんありがとうございました。


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