ポケモン俳句結果発表⑥

まずは髙田祥聖さんの作品。

言葉遊び

最初に触れたいのが6〜8句目
わかる人ならわかると思います。
ヒトモシ→ランプラー→シャンデラの進化の流れのオマージュですね。この流れをこの位置に入れてくるのが絶妙だと思います。これより前だと文字通り浮き上がり後だとこの流れがメインになりすぎる。
連作素人の私にも伝わる匠の技ですね。
この中で特に良かったと感じたのが6句目の

火灯してヒト燃して火のヒト模して

です。
タイトル回収になりますが、この句は言葉遊びの句です。"ひともして"の音がリフレインされており、それぞれに別の意味があります。
これは私個人の考えですが、言葉遊びの句はそれで終わってはいけない、いや終わってもいいがそれは俳句ではない別の世界のものだと思います。
この句には詩の核がしっかりとあります。燃して、模してこの二つの動詞の裏側がみえますね。

オープン型とハイド型

二つ目にお話したいのは、単体と言うよりは連作全体です。私は、ポケモン俳句に2つの型を作っています。
オープン型とハイド型です。
名前の通りポケモンの名前や情報が句にしっかりと書いてあるのをオープン型、書いていないのをハイド型と"勝手に"呼んでいます。
これと次に紹介する沼野大統領さんの連作はハイド型メインの連作です。
そもそも、ハイド型はめちゃくちゃ難しいです。
紐で例えると、作り手が企んでごちゃごちゃにした紐を読者が一本の糸に解いて戻すようなものです。どちらにも言葉から読み取る力とポケモンの知識が必要なので本当に成功させるのが難しいですし、ゆえに私も作ったポケモン俳句の9割5分はオープン型です。
しかもそれが連作になっている。とんでもないです。
本当によく挑んでくれたと思います。ポケモン俳句の新たな道が開けたような気がする作品です。

みんなありがとう、だいすき。

そんな"みんな大好き!"な髙田祥聖に真っ向勝負を挑んだ男?オクタン?がいます。

沼野大統領さんの作品です。

こちらもハイド型の連作です。大統領さんは、ポケモンがめちゃくちゃ強いお方ですので、オープンにしてくると思っていましたがこれは少し意外でした。これもいい勉強になる作品ですので見ていきましょう。

複合タイプ

まず目を引くのが全体の"氷"のイメージですね。アイスや氷、雪などこおりタイプを全体の軸として展開しています。これは非常に良いですね。連作のやり方としてタイプの統一は読者にもイメージが共有しやすいです。そして、アクセントとして加えられているのが蕗の薹や悪魔などです。このアクセントが加えやすいのがポケモン俳句連作の大きな強みです。
例えば蕗の薹はユキノオー、悪魔はニューラやユキメノコの世界が連想されますね。ポケモン俳句の連作は、メインのタイプとその複合タイプポケモンを活かす事で、一本の柱は保ちつつ単調に終わらない連作になります。

調和のらぷらす

ハイド型連作に突如出てきた6句めのらぷらす。これは、位置も表記も完璧です。元々人を乗せるラプラスに悪の心を見いだしつつ伝聞の措辞に留めた事によって連作の主体を一瞬ふっと浮かせる効果があります。
そして、それを支えている1番のポイントはひらがなです。"らぷらす"という表記。このおかげで、連作全体に調和をもたらす効果があります。

髙田祥聖さんと同じく、ハイド型に挑んだ勇気が素晴らしいですし、ポケモンを理解しているからこそのテクニックもあり非常に読み応えのある連作でした。

最後はいかちゃんさんのこちらの作品です。
これ、めちゃくちゃ大好きです。言葉遊びとポケモンのバランスが本当に上手く、読んでいて独り言連発しました。

心を奪われた一句目

1番最初に読んだ時、"やべえこれ、、、、"って言ってしまいました。
"鷹ピカチュウと化してげんきでちゅうがえり"
鳩をピカチュウにするなんてどんな生活してたら思いつくのでしょう。しかも、ただ遊んでいるだけではありません。前半をアレンジしたからこそ後半のバランスは本当に難しいです。
選択は元気方面に振り切る"ちゅうがえり"。ここの思いきりには脱帽です。中々できません。
時候の季語をその特徴を消さずにアレンジ、そして一句全体を気持ちいい景にまとめながら季語が活かされている。
連作部門のため個人賞には入りませんが、気持ち的には"裏チャンピオン"に推したい一句です。

サンドイッチ

"お前急に何言ってんだ"とか"お腹空いたのか"とか聞こえてきそうですが私は至って正常です。
皆様、連作の奇数番目の句に注目してください。実は全てピカチュウ関連の句になっているんです。凄い通り越して怖くないですか!??この企み。ここから先は予想になりますが、おそらく自分の生活圏にピカチュウがいて、間のポケモンは旅などで出会う一期一会のポケモンなんだと思います。
こういった想像を型だけで伝えてしまうからポケモン連作は本当に面白いんです。

いかちゃんさんの連作は王道と言って差し支え無いと思います。ユーモアを混ぜながらポケモンと季語の調和を上手く保ち非常に読みやすい連作になっています。しかし、王道だからこそ一句一句の精度が非常に高く仕上がっています。



さて、次はいよいよ四天王です!!お楽しみに!

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