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コンサルタントを「受け入れる」ということ

「中小企業診断士」は、経営コンサルタントの国家資格であり、顧客企業の課題解決に向けてさまざまな助言を行うのが役割とされています。

企業側の願いは「課題を解決すること」ですので、コンサルティングのゴールは「助言」といったことではなく「課題解決そのもの」にあると言えます。

課題解決の過程はコンサルタントと顧客企業の協働作業となるわけですが、その成否を決める肝のひとつは、企業側がコンサルタントをどのように受け入れ、どのように課題解決の方策を考え出し、実際にその道を歩みだすか、ということではないでしょうか。

私自身、一般の事業会社に勤務する一担当として、かつてコンサル会社と協働した経験があるのですが、その際に得たことが自身のベースとなって、のちのち中小企業診断士という資格取得を目指したとも言えます。

コンサルタントのモノの考え方や価値観などを正しく知ることによって、より円滑に、価値的にビジネスパートナーとしての協働ができるのではないか、という思いがあったということです。

15年ほど前になりますが、自社のシステム再構築を契機として、業務改革を図っていくという課題があり、私は主任として一分野を担当する機会がありました。業務やシステムの大きな方向性を描く基本計画の段階で、コンサル会社との協働作業が始まったのですが、大半のメンバーにとって外部のコンサルタントと仕事をすること自体が初めての経験であり、反応は様々でした。

■外部から入ってきた見知らぬ人たちが、いきなり自分たちの仕事についてあれこれ言い始めると…

① きっと凄い人たちなんだから、謙虚に話を聞いて、良いところは取り入れよう。
②うまく付き合えるか自信無いけど、上の指示だからな。とりあえずやるか。
③これで少し楽ができるな。何かあっても「その件は○○社(コンサル)がそうしなさいと言ったからそうしました、私に責任はありません」という風に逃げ道ができるぞ。
④これは私たちがプライドを持ってやる仕事だ。外部の人間にとやかく言われる筋合いはない。

といった具合です。
多少、虚飾や推測も含んだ書き方をしましたが、後から振り返ると、このような様々な反応が示されていたと考えられます。抽象的に表現すれば、積極的受容、消極的受容、面従腹背、拒絶といったところでしょうか。

一時的とはいえ、組織に新しい血が入るわけですから、正の作用も、負の作用も湧き上がるというのはある意味当然と言えます。どのような組織でも起こりうる現象でしょう。

そのプロジェクト自体は紆余曲折を経て成果を得ることができましたが、企画段階でのコンサル会社との協働が上手く行ったとは言い難かったと思います。しかしこの経験が、様々な形でメンバーにとって肥やしになったということは言えます。

大きな成果が出なかったのは、さまざまなテクニカルな要因もありますが、結局は受け入れる側のメンタル的な「素地」の問題と、その素地を理解した上で新たな価値を生むまで至らなかった提案側の力量の問題、ということになるのでしょう。

ここ最近はコンサルタントと仕事をする機会も少ないですが、中小企業診断士の資格を持つ企業人として、今後はその間をつなぐ存在と言いますか、コンサルタント側からはうまくナレッジを引き出し、社内メンバーにはそのエッセンスを浸透させるといった役割を果たせると良いな、と考えています。


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