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AKA sugar

まだ、私がアメリカに来たばかりの頃。
とりあえず、英語英語ってことで大きな教会で提供されているESLに通い始めた。
そこで簡単なテストを受けるのだけれど、私程度の読み書きでも中レベルのクラスに振り分けられてしまう。そして、他の国の方たちは驚くほど読みが苦手(といってもさほど気にはしていない)でも、しゃべれる、というかとにかくしゃべる。
他のアジア人は、なまりがきつくて私には聞き取りにくかったけれど、アメリカ人の講師にはちゃんと伝わっていてとても優秀だった。

私はいささか居心地の悪さを感じながらも就学前の娘をナーサリーに預けられるのもあってしばらく通っていた。そのクラスにメキシコ人のおばさん(失礼!)がひとりいた。みんなが電子辞書やスマホを使っている中、ポケットサイズの辞書を使っていた。ショッキングピンクの上下のフーディー、おしゃれウィッグと思しき漆黒のストレートロングにニッコリ笑うと前歯の隙間がチャーミングだったのを覚えている。

今はあんまり感じることはないんだけれど、なぜかそのクラスの生徒は前に前に割とアグレッシブに出てくる人が多くて全てに慣れていない私は辟易していたのだけれど(英語学習で良くないパターン)、そのおばさんの空気を読まない感じはちょっとホッとさせてくれていた。

そのおばさん曰く、フィアンセがいて、一緒に住むためにアメリカに来たという。
ふーん、そんなもんかね。
当時の私のキャパではよく飲み込めなかった。

そして、一対一で話すチャンス到来

「あんたのなまえってさぁ、私の国の言葉でsugarって意味なんだよ」
(砂糖をつまんで口に運ぶジャスチャーしながら)
「へっへっへ」(←あくまでそう笑っている印象)

へえ、そうなんだ。なぜか妙にその会話(って程でもないんだけど)が印象に残っていて、sugar と同じ音っていうのはまんざらでもなかった。だってsugar=sweetだもの。
実際にはちょっと違う音だったけれど。

夏休みがあけて季節が変わるとそのおばさんはクラスに来なくなった。きいたところによると、冬が寒い!ということで国にいったん帰ったのだそう。
地続きってそんなもんかね。
やっぱり当時の私はそれをうまく飲み込めなかった。

それから数年経って、いまの住所にもsugarが偶然入っていて、それが’お砂糖の小山’ というものだからちょっと可愛くって気に入ってる。

と、いうわけです。

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