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モテればいいってもんじゃねぇ

私が過去に付き合いのあった女友達の中にこれでもかと言うほどモテる友人がいた。

過去形なのには特に大した理由はない。

会う機会が減りなんとなく疎遠になり、今ではどこで何をしているのかすらわからないほど交流がないからである。


彼女のモテっぷりはそれはそれは相当なものだった。

わかりやすいところで言うと、私と参加した合コンの相手方の男性全員(5名)に後日ありとあらゆる手段で食事に誘われたというところからそのモテ加減が伺える。ちなみにありとあらゆる手段というのは、連絡先の交換に至っていないにも関わらず幹事を通して誘われたとか幹事本人から誘われたとかそんな感じだ。ただただすごい。


どうして彼女のことを記事にしようと思ったかと言えば、それはもちろん彼女が最終的に私にとっては気に食わない存在だから。

こんな言い方をしてしまって非常に身も蓋もないのだが、気に食わないものは気に食わない。今ではその感情が単なるひがみだったと反省してはいるが、それにしてもすごい女だった。

本日の投稿はそんな友人とのなれそめや思い出の日々、最終的には私の個人的な暴言まで書き綴らせていただこうと思う。




その友人との出会いは、私が無職の頃に通っていたパソコン教室だった。

資格取得のために寄せ集められた老若男女が一堂に会し、その中でもドチャクソ顔が整っていた彼女に「もしよかったらお昼休憩一緒に取りませんか?」と声を掛けた。どうせ仲良くするならかわいこちゃんがいい。
もちろん他にもかわいこちゃんはいたが、既にグループらしきものに所属していたっぽいのでそこは控えた。

彼女は笑顔で「ぜひ!」と快諾してくれて、その日から昼休憩を一緒に過ごすことになった。

ミサちゃん(仮名)私より10センチほど身長が低く推定150cmほど、それだけでも小さくて可愛い。めちゃくちゃスタイルがいいとかではないが、恐らくあれはDカップはあろうおっぱいの膨らみと適度に女性らしいフォルム。しかも顔は北川景子似のクール系の美人。そんなクール系の顔面に反してノリは良く実は人懐こい。え?最強ですか?


パソコン教室は基本土日休みで、それこそ学生のように朝始まり昼休憩を取り夕方帰宅するといったようなスケジュール。1時間ほどある休憩時間は、いつしか恋愛話に花が咲くように。現在の恋人の有無から過去の恋愛に至るまでを互いに話すようになった。

ミサちゃんにはその頃恋人はいなかった。聞けばどうやらちょくちょく会っている人はいたそうなのだが、付き合う気はないらしかった。その人のことについて詳しく話を聞いてみると、どうやらミサちゃんの友人の意中の相手らしい。友人は相手にすらされず、知ってか知らずかガンガンにアプローチをかけられていたらしく少し困っていたようだった。

そしてその話を聞いた数日前に夜中ドライブに誘われていったところ、いきなりキスをされてしまったというのがその時点での最新情報だった。

「付き合ってないのにキスをかますとはけしからん!」などと思ったが人のことは言えないので黙っておいた。


ミサちゃんが学生の頃、友人と言った海外旅行先のガイドさんがべらぼうにイケメンだったらしい。一緒に行った友人はガイドさんにひとめぼれ。どうにかお近づきにと飲みに誘ったりごはんに誘ったりした結果、結局はミサちゃんとガイドさんが枕を共にすることになった、という逸話もあるらしい。

友人の意中の人から好かれる率高くね?モテるって言うのも大変だなぁ・・・(この頃はまだ悪意はありませんでした)


冒頭で書いた合コンは、女性幹事が同じパソコン教室に通う私とタメの女性。その子の男友達とその友人や会社関係の人を寄せ集め5対5で開催された合コンだったのだが、先述の通り軒並み揃ってミサちゃん狙いとなった。

ここで不思議に思ったのが、なにがそんなにそうさせるのかわからないくらい合コンでは盛り上がっていなかった人たちもこぞって後日ミサちゃんをごはんに誘っていたこと。合コン当日はわかりやすくミサちゃんの隣をキープする男がいて「これは無理に割って入ったらお邪魔かしら?」な空気も流れていたし、他の男性たちも話す機会こそあったものの連絡先の交換なんてしていなかった。

それでも一縷の望みにかけたいと思わせるなにかがミサちゃんから放たれていたのか、はたまた少しの会話で惚れこんでしまうほどの魔性パワーを発揮していたのかはわからないが、とにもかくにも本当にすごいとしかいいようがない出来事だった。

ちなみに後日談としては、その合コンで常に隣をキープしていた男に誘われて食事に行ったらしい。気付けば夜中のドライブに変わり、またしてもキスされたとかなんとか。

狙った女性とは夜中にドライブするように、というマニュアルでも配られてるのか?


ともあれここまではミサちゃんから聞いた話を多少端折って事実のみを書き綴ったが、ここからは私の妄想というか暴走である。

私は冒頭でも書いた通り、ミサちゃんが気に食わないと感じたことがあった。それはなぜか。

もし私が好きな人(もしくは彼氏)でも紹介しようものなら、知らない間に夜中にドライブに連れていかれそうだからだ。

なんというか、本人はあくまでも自分はそんなつもりなくという前提だし事実そうなのには変わりないのだが、もし自分がミサちゃんの友人の立場になったらと思うと言い知れぬ感情が生まれてくる。女の嫉妬は女に向かうの見本のようなお話である。

実際この感情に気付いたのは、ミサちゃんと一緒に参加した私と私の元カレ主催の合コンだ。

過去記事「合コンではしゃぐ岩ゴリラ編」がそれにあたるのだが、ミサちゃんはノリも良く可愛いので合コンにはもってこいな人材。その日も満遍なく男性陣との交流を深め、一人の男性が「ミサちゃん好きかも…」と速攻アプローチを仕掛けるほどにはモテパワーを発揮していた。
むしろそんなことはミサちゃんにとっては朝飯前のことなのだろうが、合コンの後日いつものように昼休憩をとっていたときに衝撃の発言を耳にしてしまった。

「○○さん(私の元カレ)に王様ゲームでお姫様だっこされたとき、結構キュンと来ちゃったw」

ちなみに男性側の幹事が元カレであることはミサちゃんともう一人だけ知っていたことなのだが、それを知っていながらの発言である。

他意はないだろうし好きだからどうこうとかそういうことでもないのだろうけど、なんとなく「この女怖い」と思った。

私の表情が曇ったことなどつゆしらず、その後も元カレを褒め続けるミサちゃん。確かに話している雰囲気というかノリのようなものは合っていたと私から見ても思うし、こうなってくれば私の存在の方が邪魔なのかもしれない。元カレに未練があったわけでもないし、実際に新しい彼女が出来た話を聞いたこともある。

しかしだ、友人と元カレが付き合うのはきつい。というかそういう雰囲気を感じることからしてもう無理。

そう、私は心が非常に狭いのだ。

自分の縄張りを荒らされた野生動物のような気分になり、その話をどうにか他の話題に変えられないかと考えていると、そんなタイミングに元カレから連絡が来た。

「この前の合コンの時ミサちゃんのこと気に入ったっていう人がいるんだけど、そいつのことありかどうか聞いてみてくれない?」


ありがとう元カレ!元カレありがとう・・・!!!


これで万が一ミサちゃんの矢印が元カレに向いても、元カレとしては自分の友人の好きな人と付き合う選択はしないだろう。奴はそういう性格だ。私は小躍りしたい気持ちを抑え、電話の内容をミサちゃんに伝えると「△△さん?うん!全然ありだしいい人だなって思うよ!」


よしきた。己の手を汚すどころか恋のキューピッド的役割で善人のフリをしながら元カレとミサちゃんカップリングの可能性を潰すことができる!!!


元カレには少し話を盛り気味に報告し、ミサちゃんとその人が上手くいくように計らった。計らったと言っても会う機会が増やせるようにみんなで集まる機会をもう一度作ったら、その時点でとっとと付き合い始めたのでなにもしなくても変わらなかったかもしれない。しかしながら出会いの場を作ったことは事実だし、今となってはその二人は結婚して子供までいるのだから悪い役ではなかったはずだ。


話は逸れたが、ミサちゃんに対して思うことは「友人の好きな人や元カレはその距離感を間違えたら恨まれる可能性がある」ということである。

もう気をつけようもないのでアレなのだが、当時は本当に何とも言えない嫌な思いをした。

どうしても付き合いたいほど好きになってしまったのならまだしも、友人が目をハートにしている相手と私ならどうにもなりたくない。そのフィルターがかかった時点で絶対的に恋愛対象になることはないし、万が一にも相手から好意を抱かれるようなことがあれば全力で逃げる。

友人の好きな人や元カレは、私にとっては既婚者と同じ括りなのである。

ミサちゃんとはその辺りの価値観が違っていたのか、ただ単純にモテる女を妬んでいたのか、どちらも当てはまるような気がするものだがまぁそういうことである。

「モテる」というのは一見すると羨ましくもありその人の恋愛でのステータスにもなりそうなものだが、別の角度から見るとそれは非常に危ないものなのかもしれない。

友情をとるか恋愛をとるかというのはよく目にするテーマではあるが、贅沢ながら私はそのどちらもを手放さずにいたいものだ。

どちらも人間関係であり、やはりそれは信頼関係の下に強固になっていくものだと思っている。どちらも、というのは可能なのではなかろうか。

最後は私らしからぬ締めになってしまったが、とにもかくにも女性の皆様は夜中のドライブにはお気をつけて・・・

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