第三回:OECM/保護地域「COP15に向けた連続セミナー」運営感想



11月10日㈭20時より「COP15に向けた連続セミナー」 第3回を開催いたしました。

 今回は、国際教養大学国際教養学部グローバルスタディーズ領域准教授の名取洋司様にお越しいただき「OECMと保護地域」についてご講演いただきました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

 講義では、面的保全の国際目標「30by30」[1]を達成するためにはどの場所を守るべきか、どのような行動が必要であるかについてお話いただきました。 
 具体的には、愛知目標の中でかなり進展が見られた11番(2020年までに、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域のうち、陸域の17%・海域の10%が効果的に保全し、陸上景観・海洋景観に統合するという目標)ですが、実際は理想とされる核心地域が緩衝地域に囲まれた形ではなく、保護地域が都市に隣接している場合もあることをお話しいただきました。
これにより、目標を達成するためには保護地域を孤立させないことが重要であり、さらにそのためには周辺環境を維持・管理することが大切であると学びました。 
 また、保護地域の課題を理解するために欠かせない、制度上の違いに加えて、制度ごとのメリットとデメリットをご説明いただきました。
そして、生物多様性ホットスポットを保全することの大切さを学びました。ここで、日本のKBA(Key Biodiversity Area)[2]を見たところ、保護地域外の場所が多いことが分かりました。これより、保護地域を保全するだけでは不十分であると学びました。

 また、SEPLS(Socio-ecological production landscapes and seascapes)[3]や、保護地域の弊害にも触れ、先住民族のテリトリーは自然が保護されている事例が多いことにより、面的保全措置に先住民族が参加することの重要性をお話いただきました。

 他にも、人と自然が共存できる場所を維持していくためには、多様な関係者が集まる場所やジェンダーの視点も重要であることをお話いただきました。 

 質疑応答の時間では、「愛知目標は達成できなかったが、ポスト2020生物多様性枠組み案はより高い目標が検討されているというお話がありました。新たな目標を達成するために現状1番の課題は何ですか。」という今後の行動について考えるご質問をいただきました。
ご回答では、資金や人材が不十分であったことや、各国の目標が愛知目標のレベルに達していなかったことが挙げられました。このことから、様々なステークホルダーが国際会議のような場に集まることの重要性を再認識することができました。 

 今回の講義は、30by30などの目標を達成していくためには、OECMと保護地域の保護だけでは不十分であり、その周辺や生物多様性ホットスポットから保護していくことや、多様な方々が話し合う機会が重要であることを学ぶことができる貴重な時間となりました。


1)2030年までに陸域・海域の30%以上を効果的に保全しようという目標のこと 
2)主要な生物多様性地域のこと 
3)昔から人間が自然と寄り添いながら、農林漁業などを通じ形成してきた二次的自然地域のこと

事務局員 坂浦友珠

#OECM /保護地域 #生物多様性 #COP15 #COND


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